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中学生は平均2400円+α…子供のおこづかい現状

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 子供へ定期的に渡されるおこづかい。その平均額は!?(ペイレスイメージズ/アフロ)

他世帯の事情がつかみにくい一方で、世間全般の状況、平均度合が非常に気になるお金周りの話の一つが「子供のおこづかい額」。金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年調査・結果の公開をしている、「家計の金融行動に関する世論調査」の公開値を介し、この「子供のおこづかい額」について現状や経年変化を確認していく。

調査対象母集団(当然二人以上世帯)のうち子供がいる世帯に対して、その子供に渡しているこづかいの金額を尋ね、平均値を出した結果が次のグラフ。例えば小学校入学以前の子供に対して、何か欲しがった時に買い与えるなどして、普段はこづかいを渡していない世帯は平均換算には含まれていない。

↑ 子供の小遣い額(二人以上世帯)(回答世帯平均)(円/月)(2016年)
↑ 子供の小遣い額(二人以上世帯)(回答世帯平均)(円/月)(2016年)

小学生は大よそ1000円強、中学生で2400円強が平均額となる。高校生では5500円強、大学生は(小遣いをもらっているとすれば)平均で2万4000円程度。相場観としては「大体こんなところか」「やや中高生が低いような」との感想を抱かせる値ではある(この理由は後ほど推測する)。

このこづかい額の平均推移を高校生以下に限り(大学生はケタ違いに大きいのでグラフが見難くなるので省略)、1971年以降について見たのが次のグラフ。

↑ 子供の小遣い額(二人以上世帯)(回答世帯平均)(円/月)
↑ 子供の小遣い額(二人以上世帯)(回答世帯平均)(円/月)
↑ 子供の小遣い額(二人以上世帯)(回答世帯平均)(円/月)(2001年以降)
↑ 子供の小遣い額(二人以上世帯)(回答世帯平均)(円/月)(2001年以降)

1980年にかけて一定の上昇が見られた後は、高校生以外は(多少の起伏はあれど)ほぼ一定額を維持しているのが分かる。

小学生以前は安定感が低く、1000円前後を大きく行き来し、直近年では2300円近くにはねているが、これは対象世帯数が少ないのが原因。詳細値の2016年分を確認すると、小学校入学以前の子供を有する世帯数は、今調査対象母集団においては17世帯のみとなっている。さらに例えば2016年で確認できる範囲では、最高額が3万円、最低額が100円。大きなぶれが生じるのも仕方がない。

消費者物価指数は1980年後半以降、ほとんど変動していない。子供の小遣い額も中学生・高校生向けの金額については、それに大体即している形となる。

一方1980年代後半では中学生・高校生で明らかに大きな減退、小学生でも小規模な減少が見受けられる。いわゆる「バブル崩壊」が、子供のふところ事情にも少なからぬ影響を与えていたことが確認できる。

高校生については前世紀末から起伏を繰り返しながら、少しずつ減少する動きが見られる。この15年間で1000円ほど減った形だ。単に親の懐事情が厳しくなっている、あるいは高校生が使う携帯電話の電話料金を親に(一部)肩代わりしてもらう代わりに、フリーハンドで使えるこづかいが減らされているのか。後者と考えた方が道理は通る。その実情は同じ金融広報中央委員会「知るぽると」で定点観測されている「子どものくらしとお金に関する調査」の結果からも明らかにされている。

↑ 子供の携帯電話月額利用料(概算平均、円、2015年)(「子どものくらしとお金に関する調査」から作成)
↑ 子供の携帯電話月額利用料(概算平均、円、2015年)(「子どものくらしとお金に関する調査」から作成)

なお世帯の年収別で子供のおこづかい額が変わるか否かだが、少なくとも今調査に限れば関連性はほとんどない。

↑ 子供の小遣い額(二人以上世帯)(世帯年収別)(円/月)(2016年)
↑ 子供の小遣い額(二人以上世帯)(世帯年収別)(円/月)(2016年)

小学生以前の項目が跳ねているのは上記の説明の通り、回答母数が少ないため。また「収入無し」も今年では高校生の子供が居る世帯は母数が2世帯のみであり、値がイレギュラーな動きを示してしまっている。それを除けば世間一般にイメージされるような「世帯年収が多いほどこどものこづかいも多くなる」といった傾向は見られないようだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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