男性2割、女性1割…生涯未婚率の動向を探る
内閣府が毎年公開している「少子化社会対策白書」をはじめ、多数の少子化関連の文献などで登場する、結婚や出生率とも深い関係のある「生涯未婚率」なる概念。どのような意味を持ち、いかなる推移を示しているのか。その実情、動向を「少子化社会対策白書」から探る。
「生涯未婚率」は言葉の通り、その時点において今後一生涯婚姻しないであろう人の割合を示す。混乱しがちだが、生涯を通して実際に未婚だった人の割合では無い。また死別や離別などの理由で配偶者と別れ、現在独身の人は「未婚」には該当しないので注意が必要。
「公益財団法人 生命保険文化センターの解説」の説明によると、「生涯未婚率」の定義は次の通り。
「45~49歳」と「50~54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出したものです。生涯を通して未婚である人の割合を示すものではありません。ただし50歳で未婚の人は、将来的にも結婚する予定がないと考えることもできることから、生涯独身でいる人がどのくらいいるかを示す統計指標として使われます。
「少子化社会対策白書」に記されている生涯未婚率の定義もこれと同じ。社会における結婚事情を推し量る、一つの指針ではある。
最新の白書では2010年の国勢調査の確定値に伴う、2010年分の値が反映されている。そこで各値を元にグラフ化したのが次の図。
男性は1985年辺りから上昇勾配が上向きのものとなり、1995年以降はほぼ一直線で増加している。直近分の2010年では前回の2005年から4.1%ポイントも増えて2割を超えてしまった。
一方女性は1975年からはほぼ横ばいの動きを示していたが、1995年からは上昇に転じ、次第に伸び方が急上昇を示している。そのカーブの変容からは、明らかに何らかの状況変化が起きたことを示している。別調査の結果と照らし合わせると、経済面・趣味趣向の多様化・価値観の変化など、結婚を取り巻く環境の変化が、特に女性における結婚への心理的姿勢を変化させた可能性が高い。
また少数ではあるが、統計上は未婚扱いではあるものの、事実婚の状況で異性と同居(同棲)しているケースも想定される。これもまた価値観の多様化によるものといえよう。ちなみに2015年10月に厚労省から発表された「人口減少社会に関する意識調査」によると、15歳以上の男女において現在の結婚状態が事実婚にある人は0.7%との結果が出ている。
今件データは原則的に国勢調査毎に更新されるため、次のデータ公開は2015年以降となる。直近数回分の動きに変化がなければ、2015年分は男性は24~25%、女性は12~13%程度の値になるものと思われる。他の結婚関連の値と共に、今件動向を抑えたいところではある。
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