鉄道内の迷惑行為最上位は7年連続で「騒々しい会話やはしゃぎまわり」
公共の交通機関、鉄道。多数の人が同じ空間内で時間を共にするため、マナーの順守が欠かせない。しかし実際には多様な道徳違反が後を絶たない。日本民営鉄道協会が発表した駅と電車内のマナーに関するアンケート(2015年10月1日から11月30日にかけて同協会公式サイト上で行われたもので、有効回答数は2105人)の結果から「鉄道施設内における迷惑行為」について確認していく。
列挙されている事例のうち、自分が特に迷惑だと思う内容のものを3つまで挙げてもらい、その回答数を集計した結果が次のグラフ。最上位には「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」がついた。ほぼ4割の人が「迷惑だ」と感じている。
第2位は「座席の座り方」。足を大きく広げたり、姿勢を崩したり、あぐらをかくなどして、座席が想定したより大きなスペースをとり、他の人の着席を邪魔するような行為が該当する。さらには子供が靴を履いたまま座席に立つのも含まれる。またグラフ化は略するが「座席の座り方のうち、最も迷惑に感じる行為」では、2/3の人が「座席を詰めて座らない、間を広くとる、荷物を置く、足を広げるなど」と回答している。
次いで多いのは「乗降時のマナー」。列に並ばずに横から入ったり、乗った後に扉付近に留まり、他の利用客の乗り降りを邪魔してしまう、車両内から出る人を待たずに乗り込んでしまう、さらには駆け込み乗車なども当てはまる。
トップの「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」に加え、「携帯電話・スマートフォンの着信音や通話」「ヘッドホンからの音もれ」など、音に関する迷惑行為が多数上位に食い込んでいるのが目に留まる。駅構内はまだしも電車内は一種の閉鎖空間であり、ただでさえプレッシャーを覚えるところに、自分が意図していない音を聞かされることへの反発が大きい。
また中途半端に耳に入ることで、音楽や会話などではなく、単なる雑音として認識してしまうのも「迷惑」と覚える理由。その上「通話」については、その場にいる人の声のみが聴こえ、相手側の会話は聴こえないことから、やり取りの一部のみが耳に入ることになり、大きな違和感が生じ(半ば独り言のように聴こえてしまう)、それが違和感・不快感につながるものと考えられる。
これを回答者の性別に見ると、いくつかの違いが確認できる。
男女ともに上位陣は「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」「座席の座り方」「乗降時のマナー」で変わるところが無い。ところが第4位に男性では「携帯電話・スマートフォンの着信音や通話」が入っているのに対し、女性では「荷物の持ち方・置き方」がついており、第5位までにその姿は無い。単なる音に対する反応の違いだけなら、「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」や第5位の「ヘッドホンからの音もれ」でも順位や回答率に差異が生じてもおかしくないが、その気配もない。スマートフォンなどの利用に対する許容ラインの違いが、男女間にあるものと考えられる。
迷惑行為のうち多様なパターンが想定される2つの項目「乗降時のマナー」「荷物の持ち方・置き方」に関して、細分化をした上でもっとも迷惑を覚える行動を示してもらった結果が次のグラフ。
扉付近に固執する人、降りる人を待たずに乗り込もうとする人や割り込みをしようとする人、周囲に邪魔さを覚えさせる背中や肩のリュックサックやショルダーバッグ。電車を定期的に利用している人なら、いずれも一度や二度ならず、迷惑さを覚えた経験があるはずだ。あるいは自分自身が指摘されている事柄をしている、思い当たる節がある人もいるだろう。
なお過去のデータを紐解くと、2003年までは「携帯電話の(車内)使用」がトップだったが2004年以降は1位から脱落している。携帯電話の利用が一般化するのと共に、利用が音声通話からボタンやパネル操作(によるアプリケーションなどの利用)にシフトしたようすをかいま見ることができる。
最上位の「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」は7年連続のトップ。集団で電車を利用していると、ついテンションが高くなり、結果として大きな声を出したり、はしゃいでしまうこともありうる。しかし鉄道施設内は公共の場であり、他の人も利用していることを忘れてはならない。特に電車内は閉じた空間で、自分の声が周囲に届きやすいことを認識した上で、礼儀正しく使いたいものである。
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