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単身男性若年層ではやや低め…テレビ普及率の現状を詳細に確認してみる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ すべての世帯にテレビは存在する……ように思えるが

放送されるコンテンツの質的問題やインターネット等の競合媒体とのせめぎ合いの中で相対的な順位変動の危機の中にあり、また自制と規律の立て直しが求められる一方で、今なお多数の利用者を持ち影響力を有しているテレビ。そのテレビの普及状況を総務省の定点調査「全国消費実態調査」の最新版となる2014年分から確認していく。

今件における「テレビ」とは特に定義は無いが、世間一般的に「テレビ」と問われ回答できうるものを指す。携帯電話などでワンセグの受信ができても、それを「テレビを所有している」とは言わないことから、純粋なテレビ受信機を対象とする。また前回調査2009年分ではブラウン管と薄型テレビの2選択肢で問われていたが、直近の2014年では単に「テレビ」とのみ設定されている。そのため、経年変化などのデータは算出できない(現状ではブラウン管テレビの保有者はゼロと見なしても良いとの判断によるものだろう。他調査でも類似の判断が下されている)。

まずは総世帯、つまりすべての世帯の世帯普及率と、所有世帯あたりの平均所有台数。

↑ テレビの世帯普及率・所有世帯の平均所有台数(2014年、総世帯)
↑ テレビの世帯普及率・所有世帯の平均所有台数(2014年、総世帯)

普及率は96.9%、平均保有台数は1.97台。大よそ33世帯のうち32世帯がテレビを所有している計算になる。実質的にはほぼ全世帯と見なして良い位の値といえる。

一方でこれを単身については男女別、そして二人以上世帯について見ていくと、多分の違いが生じているのが分かる。

↑ テレビの世帯普及率・所有世帯の平均所有台数(2014年、世帯種類別)
↑ テレビの世帯普及率・所有世帯の平均所有台数(2014年、世帯種類別)

二人以上世帯は普及率がさらに高く98.4%。平均所有台数も2台を超えており、2つ以上の部屋にそれぞれテレビが置かれている実態が分かる。茶の間と子供部屋あたりが妥当だろうか。他方、単身世帯では男性は9割程度にまで普及率が落ちる。男性よりも女性の方がテレビ好きとの実態は他の調査でもよく見受けられる結果だが、今調査でもそれが裏付けられている。

この単身世帯の男女の違いについて、世代別に詳細を見ると、その実情が確認できる。

↑ テレビの世帯普及率・所有世帯の平均所有台数(2014年、世帯種類別)(年齢階層別)
↑ テレビの世帯普及率・所有世帯の平均所有台数(2014年、世帯種類別)(年齢階層別)

二人以上世帯、単身女性世帯では年齢の別なく、ほぼ高い値を示している。あえて言えば単身女性では40代まで、二人以上世帯では30歳未満がいくぶん低めなぐらいか。もっとも3%ポイント前後の差でしかない。

ところが単身男性世帯では、明らかに若年層でテレビの普及率が低い値を示している。30歳未満では8割を切り、30代から40代でも9割に届かない。

他の類似調査でも似たような形で、単身世帯、若年層世帯におけるテレビの普及率が他の属性と比べていくぶん低いことが報告されている。この状況がそのまま継続し、加速していく、つまり今後男性の中堅層にも低下が生じ、若年層はさらに下がるのか、それとも一時的な減少(現象)で、今後男性若年層のテレビ普及率も上昇していくのか。予想は難しい。

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年齢階層別のテレビ普及率をグラフ化してみる(2015年)(最新)

カラーテレビの普及率現状をグラフ化してみる(2015年)(最新)

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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