携帯ゲーム機はほとんど需要層に普及済みなのかもしれない
手のひらサイズの本体にソフトを差し換えることで多種多様なゲームが楽しめ、ネットワーク機能を用いてオンライン対戦もできる携帯ゲーム機。似たような性質を持つスマートフォンとシェア争いをしているが、その普及動向は、そして需要はどのような状況だろうか。総務省が2015年5月に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」から確認をしていく。
今調査は今調査は2014年11月15日から11月21日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリングによって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。調査ツールによるデバイスギャップのリスクは考慮をしなくて良い。
次に示すのは携帯ゲーム機の所有及び利用状況。自宅にある・無しを回答者に答えてもらい、ある場合には回答者自身が利用しているか、それとも利用していないか(置いてあるだけなのか、家族の別の人が使っているかは問わない)、ない場合には自宅に欲しいか、いらないかを答えてもらっている。単純にある無しの回答だけでなく、ある場合には利用状況を、無い場合には所有希望の有無まで尋ねることで、細かい携帯ゲーム機の需要を確認出来る。なお今件は回答用紙には「携帯型ゲーム機(ニンテンドーDS、PSP など)」と記載されている。
男女差はあまりなく、やはり10代の値が圧倒的に高い。40代の所有率の飛び跳ねはイレギュラーだろうか。それをのぞけば所有率・利用率共に低年齢ほど高く、高年齢ほど低い値を示す。そして学生・生徒はずば抜けて高い。
さらに世帯年収別では600万円を上限とし、それまでは低年収ほど低所有率を示している。ただし利用率に限れば年収による差はほとんど生じていないのが興味深いところ。
他方非所有者の思惑を見るに、現状はほぼ飽和状態にあることが分かる。自宅に携帯ゲーム機が無い人の大多数は、将来に渡っても欲しいとは思わないと考えている。代替わり、買い増しなどの理由で現在の所有者がさらに購入する可能性は否定できないが、現在非保有者が新たに購入する機会はあまり無い。
今件はあくまでも回答時の状況で、しかも13歳以上の回答者に限られている。大学生や社会人になり一人暮らしを始める=新世帯で暮らすようになる、13歳未満の子供の所有願望は反映されていないため、現在携帯ゲーム機を持たない人で、新規に欲しがる人も少なからずいる。
しかし少なくとも現状では多分に、携帯ゲーム機は飽和に近い状態であることは否定できまい。さらに今後の動向を見守る必要があるが、タブレット型端末やスマートフォンの浸透で、稼働率が低下する、つまり自宅にあるが使っていない人の割合がこれまで以上に低下する可能性は大いに考えられる。
来年以降の動向に、大いに注目したいところだ。
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