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買い物8割、料理やお風呂掃除は6割…他人が気になる子供達のお手伝い実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 掃除洗濯料理……子供の手伝い事はいろいろあるけれど

買い物は8割近くがやってます

保護者の家事負担の軽減や情操教育の一環、しつけ、さまざまな理由から行われる、子供のお手伝い。現状では子供達はどの程度、お手伝いを実践しているのだろうか。少年教育振興機構が2014年6月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書を元に、その現状を確認していく。

2012年度時点での、調査対象母集団(小学生、中学2年生、高校2年生)のお手伝いの実情は次の通り。買物は大よそ3/4が手伝っていることになる。

↑ お手伝いの実態(2012年度)
↑ お手伝いの実態(2012年度)

食器を揃えたり片づけるのは73.9%。技術を必要とせず、室内でも可能で保護者の監視がし易いことから、「いつもしている」の回答値は買い物よりも高い。

ゴミ袋を出したり捨てる行為は、新聞や郵便物の取得と同じような難易度に思えるが、ゴミの重さなどもあり、実施率は高くは無い。さらにペットや植物の世話はほぼ半数程度に留まっている。もっともこれについては、ペットを飼っていない・植物を育てていなければ世話のしようがないことから、手伝いようが無い事例も多々あるものと考えられる。

子供は年々お手伝いを積極的にするように

この「子供達のお手伝い実情」を複数視点で眺めてみる。まずは直近2012年度分における男子と女子の、各学年別の行動率の違い。特に男女差が明確な「料理の手伝い」を確認したのが次のグラフ。

↑ 料理の手伝い(いつも+時々)(2012年度、男女別)
↑ 料理の手伝い(いつも+時々)(2012年度、男女別)

女子の方が積極的に料理の手伝いをしている。グラフ化は略するが、男女別では料理ほどではないものの、他のお手伝いの項目でも大よそ女子の方が値は高い。男子の方が実施率が高いのは、力仕事となる事が多いゴミ捨てぐらい。

また料理では男女とも学年が上になるほど、お手伝いの実施率は減少する。理由は色々と考えられるが、例えば学校の授業や部活動など自分の生活行動が忙しくなる、気恥ずかしさを覚えるなどが、手伝い率減少の理由として考えられる。

一方、時代の流れと共に、子供は手伝いに積極姿勢を見せつつある。次に示すのはいくつかのお手伝い項目に関する実施率の推移を見たもの。

↑ お手伝い実施率推移(いつも+時々)(無回答除き再計算値)
↑ お手伝い実施率推移(いつも+時々)(無回答除き再計算値)

共働き率の増加に伴い家事分担の必要性が増えてきた、お手伝いが情操教育としても有益であるとの考えが浸透しているなど、理由はいくつか考えられる。ともあれ、子供のお手伝い度合いは積極的になりつつある。

子供にお手伝いをさせる際には、いきなりすべてを丸投げするのではなく、最初は保護者自身のやり方をよく観察させる。その上で、共に手取り足取りの形で教え諭し、手伝いをさせることが望ましい。子供に取って手伝いをすることは自分自身の価値を、家庭を支える一因であることを認識させる。その経験は成長の大きな糧(かて)となるに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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