たばこの不始末、たきぎよりも多いのは…出火原因の内訳を探る
2013年の出火原因、トップは放火、そしてたばこが続く
あらゆるものを焼きつくしてしまう、恐るべき災害の一つが火災。その火災の出火原因は多種多様に及ぶ。消防庁が毎年公開している統計データ「火災の状況」を元に現状を再確認し、防火意識を改めることにする。
次に示すのは最新データにあたる2013年分の、出火原因の内訳。最大値を示すのは放火で5093件、ついでたばこの4454件。
放火は年々その件数、全体に対する比率を減らしつつあるものの、今なお最大の件数。全国では毎日14件ほど、放火による火災が発生していることになる。「放火の疑い」まで含めると全体の2割近く・9000件近くに達する。
次いでたばこ。多分に不始末によるもので、全部で年間4500件ほど。たばこの喫煙率の漸減もあり、件数・比率共に減っているが、少なくとも過去5年間では順位は不動。
これを過去5年間について、動向把握をするため、各年の全体件数に占める比率と、単純に件数の積み上げとしてのグラフを生成したのが次の図。
件数比率で見ると放火やたばこの不始末は減少中。一方たき木などのように振れ幅が大きい出火原因も多く、全体数としてはやや大きな上下を繰り返しながら漸減の傾向にある。
また「その他」項目が増えていることから分かる通り、出火原因そのものは多様化している。最初のグラフで示した細分化の項目一覧にすら収まらない事案が増えていることがうかがえる。
出火場所、そして犠牲者の動向
出火原因は放火がトップ。ではどのような場所で火災は多く発生しているのだろうか。建物の種類別に見た件数は次の通り。
一般住宅(いわゆる戸建)が最上位。その数、およそ8900件/年。次いで共同住宅が約4100件と、住宅火災が多分を占めていることが分かる。「特定複合用途」とは2つ以上の用途に用いられる建造物のことで、そのうちの用途の一つが劇場や集会場、飲食店、病院、旅館、養護学校など特定の用途に該当するもの。例えば1階が飲食店で2階以上がオフィスのようなビルを指す。大規模火災などが報じられることが多いため、工場や作業場の件数は多数に思えるが、実際には1750件、順位の上では4番目に留まっている。
最後は火災のうち住宅で発生したものに関して、その火災で命を落とした人の世代区分別割合。
元々お年寄りの数・割合は増加する傾向にある。同一比率で対象者となるのなら、人数が増加するのも当然の話。しかし現状は人口構成比以上に高齢者の割合が大きく、さらに猛烈な勢いで増加しているのが分かる。これは運動能力が低下しているなどで、逃げ遅れたり着衣が着火してしまうことを起因としているのに加え、高齢者の一人暮らし、寝たきりあるいはそれに近い状態の人が増加している、そして高齢者の中でも、一層歳を取った人の数・割合が増加しているのが原因として考えられる。
火災はすべての宝物を一晩で奪う、非常に影響力の大きい災害。日常生活で火の用心は欠かせない。さらに寝たばこをしないよう心掛ける・うながすなど、さまざまなルール作り、万一の際の備えが必要。
火そのものは非常に便利なものだが、同時に大敵ともなりうる諸刃の剣。そのことを忘れないようにしよう。
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