知りたいのは払う額・軽減税率を望む…消費税率引き上げへの消費者の意見
本体価格よりも払う額を知りたい消費者
この4月からの消費税率引き上げに伴い、商品価格の表示方法に関して各小売業界で調整や意見交換が活発化している。法令上では一定期間は移行措置として「表示価格が税込価格と間違われないような措置がなされていれば、税込価格ではなく税抜き価格で表示しても良い」とする特別措置法が施行されている。例えば本体価格100円の商品の場合、「100円(税抜)」「100円(本体価格)」「100円+税」などの表記はいずれも(期間限定ではあるが)問題無しとされる。
それでは消費者側はどの価格表示方式が望ましいと思っているのか。インターワイヤードのディムスドライブ事業局が2014年1月に発表した、2013年12月に行った調査の結果によれば、本体価格では無く税込の総額の方が良いとする意見が6割を占める結果となった。
本体価格のみ、本体価格を大きく表示するスタイルを望む人は少数派。同サイズでの表示が1/4強、残りは税込総額重視派。全体の1/4は「税込総額だけでよい」(トップの写真のスタイル)とする意見。
一部業界では税込総額の表示によって割高感を覚えてしまうのを嫌う、税率改正前後の価格表示・管理の調整の煩雑さを受けて、本体価格のみを表示することを望む向きもある。買い手としては「支払う額がいくらになるのかを知りたい」の需要が大きいようだ。これは昨年8月に掲載した、博報堂が2013年7月に実施した調査の結果「消費者は「税抜き価格表示」は望んでいない・知りたいのは「支払価格」と「税額」」とほぼ同じである。消費者が望んでいるのは支払額。本体価格は二の次、三の次でしかない。
望まれる軽減税率
消費税の引き上げと共に注目されている考え方の一つに「軽減税率」がある。これは食料品などの生活必需品に限り消費税率を低くしたり、非課税にするという特別措置。一部の海外諸国では導入されている。例えはイギリスでは食料品や医薬品などはゼロ%、光熱費などでは低率化が実施されている。
日本でも消費税率が10%に引き上げられた時点で、財源の確保・関係事業者の理解同意と環境の整備を得た上で、導入に関して、2014年12月までに詳細な検討を行うとされている。つまり現時点では、税率引き上げの4月以降も一律課税で、軽減税率は行われない。
この「軽減税率」の仕組みについて、引上げ後はどのような制度設定が望ましいかを尋ねた結果が次のグラフ。
全体では約2/3が程度はともあれ「軽減税率」の導入を望んでいる。他方、「分からない」とする意見も15.4%あり、理解・認知度がまだ十分で無いようすもうかがえる。
年収別に見ると、多少のぶれはあるものの「高年収:同じでかまわない」「低年収:かなり差をつけるべき」という傾向が見受けられる。年収が高い人ほど、消費税分位ならば収入の大きさでカバーできると考え、税制度や各種計算が複雑化する「軽減税率」は不必要との判断を下している(とはいえ、最高年収層でも6割は導入賛成派)。他方、低年収ほど税率の引き上げがダイレクトに生活に響く(少なくともそのように考えている)ことから、消費する機会が多い食品などの日用品では軽減税率を導入してほしいとの声が強くなる。
他方、低年収ほど「分からない」との意見が多い傾向も確認できる。税そのものへの関心の薄さによるものかもしれない。
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