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時代を切り裂くエモーショナルなバンドMr.FanTastiC、3年ぶりのワンマンライブのすごさ

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
photo by Mr.FanTastiC

ものすごいライブだった。まさに全編ハイライト。ワンマンライブながら実質60分を切る、壮絶なスピード感とパワーを誇ったライブパフォーマンス。時代を切り裂くエモーショナルかつエネルギッシュなロックバンド、Mr.FanTastiC(ミスターファンタスティック)が、3年ぶりにワンマンライブ『NEW WORLD』を、池袋harevutaiにて開催した。

Mr.FanTastiCは、2018年に活動開始。歌いとしても総再数4億回を記録する、エ

ッジの効いた声質と高い技術によるボーカルコントロールから生まれる唯一無二の声を持つメガテラ・ゼロがボーカルをつとめ、快楽ポイント高いフレーズを奏でる技巧派つっくんがギターを担当し、絶妙に手数の多いテクニカルなドラマーふじゃんによる、初期衝動を爆発させるエモーショナルさが半端ないロックバンドである。

なお、バンドの編成としては2021年7月に、ナナホシ管弦楽団(ギター)が脱退して3人体制となったばかりだ。ライブでは、メガテラ・ゼロとのユニット、BLUES DRIVERメンバーとしても知られる盟友、ろまん西野(ベース)がサポートプレイヤーとして参加、鉄壁のサウンドを織り成している。

本公演は、もちろんチケットはソールドアウト。開演前からオーディエンスは期待でいっぱい、熱量の高さがひしひしと伝わってくる。オープニングは、聞き覚えのある長尺のイントロから、そのままメンバーがステージに躍り出た。『ガンダムブレイカー バトローグ』主題歌「ブレイキングブレイシング」からスタートだ。ギターサウンドの応酬。バンド・メンバーが皆、MR.BIGに憧れて結成したと言う通り、ハードロッキンなサウンドがオーディエンスを扇情しまくる。

勢いそのままに、ギターカッティングが気持ちの良いリズミカルな展開に心を鷲掴みされる「However」、ミュージックビデオで使用された背景映像をバックに、疾走感に溢れるビートロックチューン「シューティングスター」を披露し、メガテラ・ゼロがMCで「いやあ、めっちゃ緊張する。会ってくれてありがとう、みんな! ええ、ライブのタイトル『NEW WORLD』通り、新しい時代になっちゃって。時代が変わって、どういうライブをすればいいのか。どういう風に騒げばいいのか。わからない。みんな、わからない。ねっ、難しいよね? わからない同士、みんな楽しもうね! 拍手がめっちゃ嬉しい。でも、手が痛くなったらやめていいから!!!」と、揺れる心情を吐露する。

そこから、ふじゃんによるテクニカルな即興のドラムソロ・パートへ。ていうか、展開が早い。まじ早い。そして、爽快なイントロダクションから「シアターライフ」がとてもいい。難解なリズムながらも、観客を無我夢中で踊らせ、続いてはエッジの効いたギターが圧巻のパンキッシュなハイスピード・チューン「クレイジーダンス」が早くも登場。新作アルバム『朝昼晩』において、もっともアッパーなキラーチューンに熱狂するオーディエンスたち。沸き起こる衝動に、もうどうにかなりそうだ。

しかしながら、ここで一呼吸おいてMCタイムへ。まず、ドラマーふじゃんが「ドラマーから話しはじめるよ、新しいですね。NEW WORLD!」と語り、「今日ね、何が一番楽しみだったかというと、物販で限定の白いタオルを買いたかったので、並ぼうかと思ってたら、止められた(笑)」とベースのろまん西野。ギターつっくんが「みなさま、おひさしぶり! コロナ禍で僕らを知って今日はじめてライブに来てくれた人?」と質問したら、思いの外多くの手が上がっていたのが印象的だった。そう、確実に時は流れているのだ。そして、ボーカリストのメガテラ・ゼロは「会いたかった! 3年ぶりのライブ。またこうやってライブをしていこうと思っています。10月の最後には新曲も出ます。ここから、ライブを撮影していいよ! 思い出を撮って、YouTubeにアップしてもいいぜ! でも、ここからはSnowで撮影してくれ(笑)」と、オーディエンスを楽しませることを忘れない。

ミディアムに爆音轟く「Always the best day」は、音圧を感じるロックを堪能させてくれる演奏力高いメンバー。コロナ禍での制限もあり、オーディエンスが声を上げられないことは残念だが、しかし、心のシャウトは確実に会場に響き渡っていた。掲げる拳からバンドへ向けられた思いが伝わってくるのだ。再び、メガテラ・ゼロによるMCへ。「ライブ、カッコよく撮れたらYouTubeにアップしてね! そういえば、今日会場に来たら美味しそうに“氷結”飲んでる子がいて。おれも呑みたいんだよ!!!」。

矢継ぎ早に歌われるドリンキング・チューン、妖艶な雰囲気を纏うロックンロール・ナンバー「ウィスキーハロウィン」がスタート。躍動するダイナミックなビートセンス。そして、2022年初の配信シングルとなったポジティブでストレートなロックナンバー「Wake,Awake」を、感情おもむくままにエモーショナルにプレイ。

ここで、久し振りにオーディエンスを前にしてのライブをやれた感動で、胸いっぱいのメガテラ・ゼロが感謝を語る。「来年、全国ツアーをやるから。ほんと、おれらは音楽が大好き。毎月30曲は出したいから。あれ、毎日1曲じゃん(笑)」。そして、メガテラ・ゼロによる類稀なるハスキーかつ伸びやかな歌声の素晴らしさをまっすぐに体感する「fine」へと続いていく。

最後に、メガテラ・ゼロから「早いもので、あと2曲で終わりです。たぶん、おそらく日本で一番弱気なバンドです。でも、ちょっとだけ前に出ようと思っています。ここから変わるよ。めっちゃ変わるよ! 全部持っていこうぜ!!!」。ラスト2曲は、せつなくも狂おしい感情を絞り出すように吐き出す名曲「ヨルノブルース」、そしてポジティビティーに富んだパワーを与えてくれるポップアンセム「グッドラック」で大団円を迎える、まさに晴れ舞台。オーディエンスも笑顔でいっぱいだ。

今年の5月にリリースした最新アルバム『朝昼晩』、レーベル移籍によって完全復活を遂げたMr.FanTastiC。混沌とした世の中は続くが、そんな時代の闇を吹き飛ばす圧巻のライブ・パフォーマンスとなった。しかし、まぁ、こんなにも全編ハイライト・シーンで走り抜けるバンドは他には皆無だ。引き続き、エモーショナルかつエネルギッシュな唯一無二のロックバンドMr.FanTastiCの活躍を目撃し続けたい。

■ライブ情報

Mr.FanTastiC『mini WORLD』

日時:2022年11月26日(土)OPEN 16:00 / START 17:00

場所:BANQUETHOUSE(大阪)(http://banquet-house.jp/

チケット料金:3,000円(税込・別途ドリンク代)

※整理番号順入場 オールシッティング(全自由)

※制限枚数:各公演1人2枚まで

チケット受付ページ:https://eplus.jp/mrfantastic/

※チケット受付は9/17(土)20:00からとなります。

Mr.FanTastiC『NEW WORLD 追加公演』

日時:2022年12月17日(土)OPEN 16:00 / START 17:00

場所:ESPエンタテインメント大阪 CLUB GARDEN (大阪)

https://www.esp.ac.jp/osaka/introduction/institution/

チケット料金:4,000円(税込)

※全自由 スタンディング(整理券番号有り)

※制限枚数:各公演1人2枚まで

チケット受付ページ:https://eplus.jp/mrfantastic/

※チケット受付は9/17(土)20:00からとなります。

【Mr.FanTastiC(ミスターファンタスティック)】

2018年大阪にてボーカルのメガテラ・ゼロを中心に結成。 MR.BIGが好きなメンバーが集まったバンドであり、 バンド名も「MR.BIGより凄いバンドを目指す」という思いから決まった。 始動ライブの渋谷O-EAST単独公演を成功させ、その後も精力的にライブ活動を行う。 2019年には1stシングル「絶走」と1stアルバム「STARTDASH TURBO」の 同時リリースでメジャーデビュー。2021年『ガンダムブレイカー バトローグ』の主題歌「ブレイキングブレイジング」が 話題となっており、ストーリーや熱いバトルを彩る、爽快感溢れる楽曲となっている。 2022年5月にはオリジナルアルバム「朝昼晩」をリリース。同年9月にはharevutaiにて約3年ぶりのワンマンライブ『NEW WORLD』を開催。

<Member>

メガテラ・ゼロ(Vo)

出身地:広島 血液型:O型 9/12生まれ

つっくん(Gt)

出身地:京都 血液型:O型 3/21生まれ

ふじゃん(Dr)

出身地:奈良 血液型:O型 2/25生まれ

Mr.FanTastiC オフィシャルサイト  

https://mrfantastic.jp

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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