Yahoo!ニュース

キックボクサーが“純化”する瞬間~10・4『KNOCK OUT』~

藤村幸代フリーライター
ヒジ打ち一閃でライト級トーナメント決勝進出を果たした森井洋介(C)キックスロード

12月10日、東京・両国国技館での開催を発表しているキックボクシングイベント『KNOCK OUT(ノックアウト)』。その布石となる10月4日の後楽園ホール大会は、ビッグマッチに向けて期待値の高まる試合の連続となった。

10月4日『KNOCK OUT vol.5』試合結果

初の女子試合を含む全7試合中、KO決着は5試合。1500人札止めとなった会場は、幕開けの“爆腕”大月晴明によるKO劇から早くも熱を帯び、“二人のヨウスケ”が登場したセミファイナル、メインイベントまで右肩上がりに沸き続けた。

シュートボクシングから乗り込んできた“怪物くん”こと鈴木博昭を迎え撃った水落洋祐は2004年デビュー。メインで「初代ライト級王座決定トーナメント」決勝進出を懸け、町田光と対戦した森井洋介は2008年デビュー。ともに50戦以上闘ってきたベテランだが、「老獪(ろうかい)」とは無縁。いつ、誰と対戦しても、捨て身のファイトが胸を打つ。

「名勝負男・水落(右)は66戦目(C)キックスロード
「名勝負男・水落(右)は66戦目(C)キックスロード

 この日も、水落は筋肉の鎧で武装する鈴木と壮絶に削り合い、最終5ラウンド、右拳でとどめを刺した。また、引退も辞さずの覚悟を公言し、この一戦に懸けてきた相手に対し、森井は1ラウンドに鋭いヒジ打ち一閃。町田の右まぶたと悲願を割いた。

「捨て身のファイト」というと荒々しくも野蛮な光景をイメージするかもしれない。だが、“二人のヨウスケ”の場合、試合のボルテージが高まるにつれ、勝利への欲さえそげ落ち、試合に対する、キックボクシングに対するひたむきさだけがどんどん、あらわになっていく。人として純化していく、というと大げさかもしれないが、見る者の心を洗うような無心さに、思わず惹き込まれる。

「KOこそプロ」と森井。12月10日、初代王者となるかC)キックスロード
「KOこそプロ」と森井。12月10日、初代王者となるかC)キックスロード

 イベント名どおり、『KNOCK OUT』はKOシーンが最大の見せ場に違いないが、そこに至るまでの心の駆け引きや、選手が駆け引きを超えてキックそのものにのめり込んでいく瞬間も、絶対に見逃せない。

キックボクシングイベント「KNOCK OUT」オフィシャルサイト

○レギュラー番組「KNOCK OUT!」

◆TOKYO MX 毎週金曜日 23:00~23:30

◆BS11 毎週土曜日 27:30~28:00

◆ぎふチャン 毎週日曜日 22:30~23:00

◆テレビ和歌山 毎週月曜日26:05~26:35

◆テレビ神奈川(tvk)毎週火曜日 19:30~20:00

◆三重テレビ放送 毎週火曜日 26:50~27:20

◆びわ湖放送 毎週水曜日 26:45~27:15

○KNOCK OUT公式SNS

Youtube

Twitter

Facebook

instagram

フリーライター

神奈川ニュース映画協会、サムライTV、映像制作会社でディレクターを務め、2002年よりフリーライターに。格闘技、スポーツ、フィットネス、生き方などを取材・執筆。【著書】『ママダス!闘う娘と語る母』(情報センター出版局)、【構成】『私は居場所を見つけたい~ファイティングウーマン ライカの挑戦~』(新潮社)『負けないで!』(創出版)『走れ!助産師ボクサー』(NTT出版)『Smile!田中理恵自伝』『光と影 誰も知らない本当の武尊』『下剋上トレーナー』(以上、ベースボール・マガジン社)『へやトレ』(主婦の友社)他。横須賀市出身、三浦市在住。

藤村幸代の最近の記事