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アジア杯連覇を目指す日本代表、セルジオ越後が「大会後、結果を問わずアギーレ解任に動くべき」と語る理由

浅野祐介OneNews編集長

オーストラリアで開催されているAFCアジアカップ2015。日本代表はグループステージ初戦でパレスチナ代表に4−0で勝利を収め、白星スタートを切った。試合後、ハビエル・アギーレ監督は「点差はあったが、楽なゲームではなかった。強い風があり、両チームにとってプレーの難しい環境だった」とコメント。「課題はあるが、勝ち点3を獲得できて良かった。(イラク戦に向けて)難しいゲームになると思うが、初戦を勝つことができたのが良かった」と初戦を振り返った。

大会連覇を目指す日本代表について、セルジオ越後氏に話を聞いた。

アジアカップが開幕し、12日には日本の初戦(パレスチナに4−0の勝利)が行われる。ブラジル・ワールドカップ後、最初のビッグトーナメントとなるわけだけど、今のところはまだ、アギーレ監督の八百長問題が注目されているくらいで、世間での盛り上がりは乏しいと感じるね。決勝トーナメントに進出し、実力的に拮抗している相手と戦うようになってようやく視聴率も上がってくるのだろう。

協会としては、ぜひとも結果、つまり優勝という栄冠をつかみ、アギーレ問題における周囲の雑音を黙らせたいという気持ちだろう。けれど僕は、このアジアカップの結果で監督の進退云々が問われることはないと思っている。中長期的な強化を考えた場合に、ここでノルマを課してもしょうがないし、また結果を出したからといって彼の疑惑が晴れるわけではない。

アギーレ監督の進退に関して言えば、アジアカップの結果どうこうではなく、大会が終われば速やかに解任の方向に動くべきだと思っている。クロかどうかも分からない人間に判断を下すのはナンセンスだ、という意見も聞こえてくるけど、告発されてしまった以上、例えば裁判で召喚されれば、日本代表のスケジュールに関係なくスペインに飛ばなければならない。もし大事なW杯予選の最中にそれがあったらどうする。いちいち代行監督を立てなければいけないのだろうか。

もちろん、解任するには惜しすぎる、と思わせるようなサッカーをこのアジアカップで披露してほしいという期待はある。裁判の結果シロだったら、もう一度日本代表監督になってもらいたい、それくらい思わせるようなサッカーを見せてほしいね。

個人的な意見としては、起訴もされていない段階での解任は道理に背くものだと思うし、選手への直接の形を含め、アギーレ監督は自らの言葉で説明責任を果たした。監督の言うとおり「推定無罪は法の基本原則」でもある。だが一方で、仮に今後、「起訴」という状況になった場合に備えてのリスクヘッジも準備としては必要だろう。

過去の大会で何度か直面した“環境面での懸念要素”が比較的少ないオーストラリアでの開催。日本代表は“思わぬ不安要素”を抱えてアジアカップに臨んでいるが、いろいろな意味で、日本代表には「優勝」という結果を期待したい。もちろん、連覇を果たし、アジア王者としての地位を不動のものにすることもそうだし、2017年のコンフェデレーションズカップ出場権を得る意味も大きい。しかしそれ以上に、過去に経験のない“この不安要素”を克服しての優勝は、結束力や組織力という点を含め、日本代表にとって大きな“収穫”になると思うからだ。

セルジオ越後のサッカー日本代表論まとめ

OneNews編集長

編集者/KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンで雑誌『ワールドサッカーキング』、Webメディア『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAに所属。『ウォーカープラス』編集長を卒業後、動画の領域でウォーカー、レタスクラブ、ザテレビジョン、ダ・ヴィンチを担当。2022年3月に無料のプレスリリース配信サービス「PressWalker」をスタートし、同年9月、「OneNews」創刊編集長に就任。

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