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セルジオ越後のブラジルW杯総括「ドイツとの違いを日本は考えるべき」

浅野祐介OneNews編集長

ドイツの優勝で幕を閉じたブラジル・ワールドカップ。2006年のドイツ大会後にユルゲン・クリンスマンの後を引き継いだヨアヒム・レーヴ監督が語ったように、「10年」という歳月の計画的な努力が実を結ぶ形での世界一でもあった。

今大会を現地で見届けたセルジオ越後氏の目に、ドイツの優勝はどう映ったのだろうか? 日本代表にとって今大会はどんな大会だったのか、上位に進出した国と日本の違いは何か、そこから何を学ぶべきなのか、新監督の話題が早くも取りざたされる日本代表について、セルジオ越後氏に話を聞いた。

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「ブラジル・ワールドカップはドイツの優勝で幕を閉じた。彼らのサッカーは非常に組織的で、特別な個人に頼らず、大会への準備も含めてすべてが高水準だった。優勝にふさわしいチームだったと言えるね」

「敗れたアルゼンチンは(リオネル)メッシという個に頼ろうとしたわけだけど、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドしかり、ブラジルのネイマールしかり、特別な個人が試合を決めようとするサッカーは、今回のドイツの優勝によって凋落していくかもしれない。ドイツのような取り組みがこれからの時代をリードしていくのではないかな」

「そうした潮流の中に、日本代表はまったく入りきれなかった。組織としても個人としても、今大会で勝ち上がった南米とヨーロッパの国々と比べ、明らかなレベル差があった。今大会のグループリーグは非常に攻撃的な試合が多く、ゴール数も多かった。しかし決勝トーナメントに入ると守備的な試合が増え、GKの存在感も増していった。いかに守りが大事かというのは、ファイナルに進出した2チームがまさに証明したことだね」

「つまり、攻撃か守備かではなく、シチュエーションによって戦い方を変えられるチームが勝ち上がったとも言える。日本では攻撃的なサッカーがどうとか、進んでいる方向は間違っていないとか、協会が先頭を切ってそうした流れになっているようだけど、ドイツやアルゼンチンと我々日本は何が違うのか、よく考えたほうがいいんじゃないかな。というかこの機会に考えないでどうするというのだ。なんで誰も責任を取らず、あっさり次の監督が決まるんだろうね。信じられないよ」

「7失点の惨劇を目の当たりにしたブラジルは、監督とチームに壮絶なバッシングが浴びせられ、当然ながら(ルイス・フェリペ)スコラーリ監督とスタッフはすべて辞任した。協会会長への責任追及もやまないだろう。この大敗をきっかけに、ブラジルは変わるのだ。変わらないと、ボロクソに書かれ、大ブーイングを浴びる。そういう文化がある」

「『ドンマイ』という言葉は言っていい時と悪い時がある。今、日本に必要なのは本当に『ドンマイ』なのか。ブラジルW杯で目の当たりにした差を埋めるために必要な言葉が、それでいいのか。サッカーに関わるすべての人に考えてもらいたいね。ブラジルW杯に出場し、惨敗したことで何を得たのか。問われるのはこれからだ」

OneNews編集長

編集者/KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンで雑誌『ワールドサッカーキング』、Webメディア『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAに所属。『ウォーカープラス』編集長を卒業後、動画の領域でウォーカー、レタスクラブ、ザテレビジョン、ダ・ヴィンチを担当。2022年3月に無料のプレスリリース配信サービス「PressWalker」をスタートし、同年9月、「OneNews」創刊編集長に就任。

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