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遠藤の投入で「いつもの日本代表に戻った」志の高いナショナルチームの課題

浅野祐介OneNews編集長
ラトビア戦で2点目をマークした本田とその得点を演出した香川 [写真]=兼子愼一郎

「我々は志の高いナショナルチームだ。より高いところを目指すのであれば、後半のようにスピーディなプレーを出していくことが必要だ」

3-0で勝利したラトビア戦後の会見で、アルベルト・ザッケローニ監督は今の日本代表をそう表現しました。

ザック監督「我々は志の高いナショナルチーム」/ラトビア戦

この“志の高さ”は、キャプテンの長谷部誠を始め、各選手の試合後の言葉からも伝わってきます。

■長谷部誠

「前半のほうがやはり相手も来てましたし、相手もしっかりやってたなという感じだったので、そういう相手がしっかり来てる中でもう少ししっかり崩したかったのはありますね。ショートパスもいいけど、スピードのないショートパスは有効じゃない。スピードに乗っての短いパスだったり、1回長いボールで入ってからの短いパスとか、リズムが大切。その辺が課題としてはあると思います」

「後半は相手もちょっと疲れてきたかなというのがあって、多少、僕らにスペースを与えてくれた部分もあるので、そうなる前に前半のうちにしっかりゲームを決めるくらいの戦いをしたかったですね」

「準備期間など条件的に厳しいところもありますが、そういう中でも結果を求めていく、それが代表という場所。アウェーのヨルダン戦は別ものというか、個人的には、予選で一番難しい試合になると思います。一番『アウェーを感じるゲームかな』というのはあるので、みんなで集まれる期間も多少は長いですし、その中でもう少し合わせていきたいというのはあるし、アウェーの戦いをしっかり戦いたいと思います」

■長友佑都

「ゼロに抑えられたってことと、3点取れたのは評価できるんじゃないかと思いますけど、ただ、相手もヨーロッパから移動してきて疲れていたし、あまりちゃんとは評価はできないかなと。正直なところ」

「前半も相手は来ていたようで守ってたし、なかなかスペースを見つけるのも難しかった。岡崎(慎司)もハーフタイムになかなかスペースがないということを言ってましたけど、そこは難しかったですけど、もっと一人ひとりが動いていいサッカーをしなければいけなかったと思いますね」

「特に後半は良い部分が出ましたし、その良い部分っていうのを精度とともに突き詰めなければいけないなと思います」

■岡崎慎司

「(1トップは)新たなオプションになればいいと思いますけど、前田(遼一)さんだったり、ハーフナー・マイクだったりいるんで。いろんなポジションができれば、誰かがいなかった時に自分がそこに入れることもあるし、どこに入っても自分の色を出せるようにしたいっていう意味では、1トップもできれば自分にとってはいいかなと思います」

「シュトゥットガルトで1トップをやったことが、たぶんこうやってチャンスをもらえたことにつながったと思います。でも、代表にはいい選手がいっぱいそろっているし、(佐藤)寿人さんもいるし、自分はどこのポジションでも下っ端だと思っているんで、しっかりやっていきたいです」

■香川真司

「点を取りたかったですし、そこの欲でみんなを下回ったかなと思います。あとは精度。『いるところに走ればね』っていうゴールもありますし、今日はちょっとそういうところ(点を取れる場所)にいなかったのがすごく悔しいですね」

「やっぱり前半はお互いに様子を見るというか、難しい戦いになるのは分かってました。なかなかスペースが生まれなかったり、動きの質もなかなかスピードアップしなかったから、後半はスペースが空いてきたり、相手が疲れてきた中で攻撃のスピードアップができたし、そういうところはある意味、想定内だったと思います。(長友)佑都とは左サイドでなかなか前半崩せなかったから『様子を見ていこう』って話はしましたから、そこまでリスクをかけずにやるようにはしていました」

「今日は相手がどうこうっていうより、自分たちとして何本かいい形があったと思いますし、次の試合でもそれをしっかり生かしながらですね。ただ、前半もそうですけど、修正点というのはあると思うし、改善点はあるので、それを3月また集まった時に戦えるようにしっかり準備していきたいと思います」

■内田篤人

「ボールは回るけど、相手が引いていたというかコンパクトだったし、(相手にとって)怖い進入が前半はあまりなかったので、何回か行きました」

「人が動いて、怖いところに人とボールが入っていけばいい。後半は何本かあったけど、ああいうのが増えてくると面白いのかなと思います。ただ、形、形にこだわると、パターン化しちゃう。見ていてもつまらないし、相手も対応が楽になっていくので」

「今日の試合と3月のヨルダン戦はまったく別もの。今日が良かったから次も行けるというわけではないし、今日が悪かったから次も悪いということでもない。もう一回集合したら、もう1度準備をして、集合してからの準備が大切。監督がしっかり準備をする人なので、そこは大丈夫だと思います」

■今野泰幸

「3月に大事なヨルダン戦があるので、もっともっと精度とか上げていかないと、アウェーでヨルダンに勝つのは難しいと思うので。ヨルダンもたぶん結構やってくる、攻め込んでくると思うから、本当に気を抜けないですね」

■川島永嗣

「この1年間でどれだけ成長できるかがすごい大きいと思うし。チームも変わってここまで半年やってきて、まだまだ自分自身の能力や判断だったりとかを上げていくチャンスはまだまだあると思う。この1年間でどれだけ判断の速さだったり、ぎりぎりのところでのプレーの質の高さというのを高められるかで、ワールドカップに向けて自分達がどれだけ強みを持って臨めるかに変わってくると思う」

そんな“志の高いチーム”にあって、ラトビア戦で改めて存在感の大きさを示したのが、後半から出場した遠藤保仁だったと思います。

ガンバ大阪の同僚である今野が「ヤットさんが入ってからは、特に縦パスがすごく入るようになったので、攻撃がスムーズになったし、いつもの日本代表に戻ったと思います」と語ったように、遠藤が投入された後半は3列目からのパスが試合の流れに緩急を作り、長谷部が大切と表現した『リズム』も生まれました。

「ヤットさんは、日本代表の選手全員が尊敬しているし、そういう大黒柱という感じはします。でも、やっぱりケガとか、累積警告とかで出られない時があるから、頼ってばかりではいけない。誰か一人が欠けただけで、チームのパフォーマンスが落ちるようではダメだし、今の日本代表は誰が入ってもいいパフォーマンスができるようにしていきたい」という今野の言葉は、そのまま今の日本代表の課題を表現しているように思います。

ラトビア戦後の日本代表選手コメントまとめ

「ヤットさんは、やっぱりヤットさん」

内田の“らしい言い回し”に象徴される遠藤の存在感は、ラトビア戦の前半と後半で改めて浮き彫りになりました。ここからの1年半でその代役を確立することは恐らく難しく、ブラジル・ワールドカップを34歳で迎える司令塔の存在が、“志の高いナショナルチーム”の行く末を大きく左右することを改めて証明した一戦。それがラトビア戦から受けた最も率直な感想でもあります。

OneNews編集長

編集者/KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンで雑誌『ワールドサッカーキング』、Webメディア『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAに所属。『ウォーカープラス』編集長を卒業後、動画の領域でウォーカー、レタスクラブ、ザテレビジョン、ダ・ヴィンチを担当。2022年3月に無料のプレスリリース配信サービス「PressWalker」をスタートし、同年9月、「OneNews」創刊編集長に就任。

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