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イーロンマスクの人口減少→日本消滅の話も、自分の街を調べると自分ごとになる

秋元祥治やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

テスラのイーロンマスクさんが日本の人口が減っている、 人口の減少が大きな課題であると言うことをツイートしたことが社会的に今話題になっていますよね。

アメリカ電気自動車大手「テスラ」のイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が、自身のツイッターで、「出生率が死亡率を超えることがないかぎり、日本はいずれ消滅するだろう」とツイートした。

これは、2021年10月時点で、日本の総人口が1年前より64万4,000人減り、過去最大幅の減少となったことに関するツイートに、マスク氏がコメントしたもので、「これは世界にとって大きな損失となる」とも警鐘を鳴らしている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/cab81027bee68383e53d79740704611dd2387363

50年ほど前(1970年前半)は、年間200万人を超えるこどもが生まれていたわけですが、昨今では100万人を下回っています。

まさに日本は2000年を超えて人口減少が進んでいて、このままいくと2100年には今の半分以下の人口になってしまうわけです。(内閣府WEBより)

ただ、何を今更と思ったりもするわけです、人口が減少すること自体はとっくに予見されていたこと。

例えば今20歳の人が20年後に40歳になると言う事は予測される、そして決まっている未来そして、平均寿命が劇的に変化すると言うことも考えにくければ、やはり出生率も大きく変化することが難しい。

ましてこれから出産が可能な年齢およそ20歳から40歳の人口と言うのは、減少しているわけです。親の数が少ない世代の子供はより少なくなる…と言うわけ。

とは言え、イーロン・マスクのツイートに端を発するニュースを目にしても、自分ごとと捉えにくいのもまた事実。

この問題を自分たちにひきつけ、自分たちの視点で考えてみたらどう捉えるのか。まずは日本と言う大きなくくりではなく、自分の県、自分の市、自分の街と言う括りでの人口減少取り直すということが重要ではないかと思います。

国立社会保障・人口問題研究所という厚生労働省管轄の研究機関があり、各都道府県や各市町村ごとの将来人口推計をエクセルファイルでダウンロードすることができます。

画面右上の「将来推計人口・世帯数」→日本の地域別将来推計人口(都道府県・市区町村)と、クリックしていくと、エクセルファイルで自身の住む自治体の人口推計が出てきます。

自分の街の現状や、未来の人口予測をまず見てみてはどうでしょう。

男女・年齢(5歳)階級別データ『日本の地域別将来推計人口』(平成30(2018)年推計)

人口そのもの増減もあるけれど、たとえば65歳以上の高齢者の人数や割合、子供の数などを見てみるとかなり具体的に実感を持って自身の街の今後の人口変化をイメージできるのではないでしょうか。

そして、15-64歳の生産年齢人口の推移を見れば、どんどん働ける人の数が減っていく(あるいは転入により、まだ維持されるところもあるでしょうが)ってことも実感できるのではないでしょうか。

筆者の地元・岐阜県岐阜市は2015年と比較して、2045年には人口は約20%減少するという予測。しかし、年齢別で見ていくと、子ども(0-14歳)は35%減、生産年齢人口(15-64歳)は34%減。一方で65歳以上は6%増、75歳以上に限ってみると24%増となります。

これ、2015年には、1.9人の現役世代で1人の高齢者を支えるという割合だったのが、2045年には、1.2人で1人を支える…という時代がやってくるわけです。

小学生や中学生の数が、今の2/3になり、75歳以上の後期高齢者はさらに1万人今よりも増加する…という未来、と捉え直すと、ずっと現地味を持って捉えることができるのではないでしょうか。

未来を予測する事は誰にとってもとても難しいことだけれど、今20歳の人が20年後に40歳になると言う事は決まりきったこと。そして出生率や平均寿命などに大きな変化が考えにくいことを考慮に入れると、この先の人口動態と言うのは決まりきった予測できる未来、と言うふうに見えるわけです。

イーロン・マスクのツイートを「ふーん、なるほど」で終えず、自分の関わりのある街について調べてみることで、ニュースに対する解像度がぐっと上がります。

そして、大きな人口変化のトレンドをおさえると、これからのビジネスや地域づくりのの方向性のヒントになるのではないでしょうか、というはなしでした。

やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

01年より、人材をテーマにした地域活性に取り組むG-netを創業し03年法人化。現在理事。13年オカビズセンター長に就任。開設9年で約3300社・2万2千件超の来訪相談が押し寄せ、相談は1ヶ月待ちに。お金をかけずに売上がアップすると評判で「行列のできる中小企業相談所」と呼ばれている。2022年より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授に就任。内閣府・女性のチャレンジ支援賞、ものづくり日本大賞優秀賞、ニッポン新事業創出大賞・支援部門特別賞ほか。内閣府「地域活性化伝道師」等、公職も。著作「20代に伝えたい50のこと」、KBS京都「KyobizX」・ZIP-FM「ハイモニ」コーナーレギュラーも。

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