ビリギャル、ヒットの訳・学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話/坪田信貴
坪田信貴さんが書いた「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」(通称・ビリギャル)の快進撃が止まらない。昨年12月末に発売されて5ヶ月あまりですでに40万部を超える勢いで売れまくっているのだ。書籍の業界は、1万部売れればヒットと呼ばれるので、相当すごいのだけれど、この調子だと秋ごろには100万部突破、つまりミリオンセラーも十分有り得るという話しらしい。
以前ブレイクした「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(もしドラ)や「夢をかなえるゾウ」と並ぶような金字塔を打ち立てるかもしれない、と書店業界でも話題の作品。
ネットの口コミから大ヒット
今風なのは、この本の生まれ方。誰もが自由に(無料で)好きな物語をネットに掲載できる掲示板サービス「storys.jp」に坪田さんが書いたエピドードが、SNSでシェアにシェアが重ねられ今では100万人を超える方々に読まれているそうですが、このネットでのブレイクに目をつけた出版社からのオファーで実現したこの書籍化。
作品の特徴は以前も、ヤフーニュース記載した( http://bylines.news.yahoo.co.jp/akimotoshoji/20140121-00031815/ )ので今日は、なぜ今、この本が売れているのかを考えてみたい。
というのも、もちろん今読んでもあるいは20年ちょっと前のバブル景気の頃にこの書籍が、あるいは高度経済成長期にこの本が出版されていたらばヒットしていただろうか、というとちょっと違うんじゃないかな?と疑問をもったのがきっかけ。この疑問を著者・坪田さんにぶつけてみてもやはり「ちょっと違うでしょうね、こんにちほどの売れ方ではなかったと思う」とのコメント。
閉塞感の中で、希望を見いた出したいのか
なんとも言えない閉塞感や先行きの不透明さの中ででも、だれであっても希望があるんだ「だれもがやれば出来るんだ!」という物語に誰もが共感をし、あるいは「すがろう」としている、とこのブームをみることができるのではないだろうか。
主人公のさやかちゃんは、ギャルメイクをした完全に落ちこぼれの高校2年生。彼女の無知に時に呆れながらも、一緒になって一つずつ学びを進め、最終的に慶應義塾大学の合格をともに実現する塾の先生の物語。書籍の冒頭にでてくるのはこの言葉。
できない子供なんていない、できない教師がいるだけだ
頭が良いとか悪いとかってことが、生まれながらにして決まっているんだとすれば救いがない。実際に、著者は「拡大的知能観」(知能や能力は生まれ持って固定されたものではなくて努力や試行錯誤で高めていける、という考え方)に立っているが、この言葉にこそ「ビリギャル」の本質があるし、誰であってもチャンスが有るんだ、という中に可能性と救いを見出しているのではないだろうか。
だれであって暮らしが良くなり、経済成長が実感できた時代ではない今だからこそ、
可能性と救いを求める人びとの深層心理
がこの書籍のブレイクにつながっているのではないか、とかんがえる。
こうした深読みはさておいても、さやかちゃんの懸命な姿勢やその母・ああちゃんの純粋な愛、そして父との家族の絆を取り戻す人間ドラマとして読んでも十分面白いし、坪田塾長が教える心理学を駆使した人材育成術は受験関係者だけでなく、ビジネスセクターでスタッフを育てる立場に在る管理職の方々にとっても有益だ。
今後もさらに大ブレイクの予感、
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話(ビリギャル)
ぜひ手にとって読んでみてはどうでしょう。
岐阜駅内の本屋さんにもドドンと特集されています。