日本の美と伝統を未来へ。伝統文化振興プロジェクト『Action!伝統文化』。伊豆長岡温泉〈三養荘〉で、一夜限りの文楽公演
多くの海外旅行者が日本を訪れ、日本文化に触れている一方で、日本人自身は、身近にあるその素晴らしさと価値を見落としがちです。世界に類を見ないものとして、海外から高く評価されている日本の伝統芸能・伝統工芸という遺産は、後継者不足や原材料の確保難など、多くの課題を抱えています。未来につなげるために今、できることとは。 【写真】有形文化財に登録された歴史と格式ある数寄屋造りの本館 * * * * * * * ◆『Action!伝統文化』 読売新聞グループ本社は2023年6月から、能、狂言、歌舞伎、文楽などの伝統芸能や、漆芸、陶芸などの伝統工芸など、日本の伝統文化の魅力発信と継承事業支援に取り組むプロジェクト『Action!伝統文化』を開始している。 2023年7月21日には、趣旨に賛同するパートナー企業である西武ホールディングスとの共同事業第1弾として、東京・南麻布の料亭「有栖川清水」にて、『人間国宝と伝統工藝に触れ、食し、語らう四季めぐり~夏は夜~』を開催。 漆芸家・室瀬和美氏と陶芸家・十四代今泉今右衛門氏の二人の人間国宝を迎え、人間国宝11人と若手伝統工芸作家14人の作品、計110点を展示。実際に作品を手に取り、直接作家の先生方から説明を受け、作品への理解、購入の機会を設けた。 さらに伝統工芸にまつわるトークショーや、プリンスホテルが誇る美食がふるまわれ、荘厳華麗な空間での「一夜限りのプライベートミュージアム」イベントとなった。
◆第2弾『春爛漫プレミアム文楽』開催 そして今回、読売新聞×西武グループによるイベント第2弾として、2024年2月、『春爛漫プレミアム文楽』の開催が発表された。このイベントは、江戸時代から続く伝統芸能「文楽」の世界を、静岡県・伊豆長岡温泉の旅館〈三養荘〉で、泊りがけで堪能できるプレミアムイベント。 「文楽」は、生命を宿したように人形を操る「人形遣い」、情景や心情を義太夫節に乗せて語りで伝える「太夫」、音色と抑揚緩急で場面を演出し、物語の心を表現する「三味線」の三位一体からなる総合芸術。 この、世界最高峰の人形劇ともいわれる「文楽」。今回のイベントでは、日本の伝統工芸技法「截金(きりかね)」細工の重要無形文化財保持者(人間国宝)として活躍した江里佐代子氏の作品「峰光」が飾られた三養荘の大広間「雄峰」の舞台で、一夜限りの文楽公演を行う。 歌舞伎や文楽、日本舞踊などを上演し、日本の伝統芸能の拠点として親しまれた国立劇場が今年10月、建て替えのため閉場した。本プロジェクトでは、国立劇場が閉場している間も「文楽」などの伝統芸能に触れる機会を提供し、新しいファンを増やすことで伝統芸能の継承に貢献していく。 世界に類を見ないものとして、海外から高く評価されている日本の伝統芸能・伝統工芸という遺産。しかし後継者不足や原材料の確保難など、課題は多い。 今後も本プロジェクトを通して、芸術や文化に触れる体験を提供し、伝統文化の振興施策に取り組んでいく。
「婦人公論.jp」編集部