「俺が巨人やソフトバンクのGMをやってもダメ」だった理由は…? 元GM高田繁(78)が語るDeNAの特殊性「優勝へのアプローチの仕方が違う」
生まれは鹿児島の薩摩隼人。育ちは大阪。名門・浪商のケンカ野球で生を受け、明治大学島岡学科の首席卒業と呼ばれた神宮の華から、V9巨人の川上野球を骨身に刻み込んだ現役時代。引退した後は、日本ハム監督、巨人二軍監督、北海道移転後の日本ハムGM、ヤクルト監督と各地を転々としながら、若いチームの土台づくりを担ってきた。 【写真で比較】「こ、これはイケメン…!」DeNA元GM高田繁氏の55年前、“超絶イケメン”ルーキー時代&「食事は冷めたピザばかり」DeNA復帰・筒香の不運のレイズ→びしょ濡れのパイレーツ→横浜の軌跡も見る 一線を退いていた2011年12月。親会社が変わったDeNAベイスターズから三顧の礼で迎えられ、チーム作りを任されるGMに就任。焼け野原の中から7年間かけ、チームの土台をつくりあげると、2018年いっぱいでGMを退任した。御年78歳。第一線から退いて早5年。高田繁が語った筒香復帰への思いとは? <NumberWebインタビュー全2回の2回目/最初から読む>
「お金を出して獲ればいいというのは好きじゃない」
――(※このインタビューは筒香選手の入団前の取材です)現行のFA制度では、複数球団が獲得に乗り出しているとマネーゲームになりがちです。 高田 俺はいくらでもお金を出して獲ればいいというやり方は好きじゃないのよ。お金のある球団を相手にすれば、うちが5億出すといえば、必ず6億出してくる。ならば10億出すといえば11億出すというのだからどんどん年俸がおかしくなる。 こっちが必死の思いで工面して3億を用意するんだよ。だけど相手が10億出してきたら……そりゃ選手は10億に行くわな。プロなんやから。 ――(笑)。 高田 それがイヤなら「おまえも出せばいいんだ」ってなるからね。どっちを選んだとしても恨みっこはなしですよ。ただね、お金が入ってきたのであれば、その資金は、真っ当なチーム作りのために充てるべきや。 それは活躍した選手にあげてね、やれるようなチームの雰囲気になってきているから、気持ちよく働いてくれる球団になってもらえればいいなと思っている。 ――恨みっこなし……だとしてもやっぱり主力選手が他球団に流出してしまったらと思うとやるせないですね。 高田 それは俺も同じだよ。筒香には何が何でも帰ってきて欲しい。だけど、ファンの気持ちや声に耳を傾けすぎていては編成なんてできない。選手の首切りだってそうだよ。全員が納得することなんてどだい無理な話や。 人気選手を他球団に獲られたら、「編成は何をやってるんだ」と叩かれる。大金をはたいて獲得したとしても、今度は思い通りの活躍をしなければ「あんなのに10億も払うなら外国人投手でも獲れよ」とまた非難される。まぁ責任者は常に嫌われ役だからね。優勝することだけしか正解がないんだよ。 ――その優勝をするための手段として、チームの思想が違えば、選手獲得や育成の方針も違い、お金の使い方も全然違うものになる。 高田 そうだね。だからGMをやるにも球団の向き不向きがある。俺なんかは巨人やソフトバンクでGMをやっても全然ダメだったろうね。
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