ハリのある引き上がったヒップをつくりあげた42歳が世界選手権入賞 5つのジムを契約してとにかく練習した日々
12月16日~19日、『IFBB世界フィットネス選手権&男子ワールドカップ』が東京・有明コロシアムで行われ、小竿愛子(こさお・あいこ/42)選手がマスターズビキニ40~44歳で4位入賞、ビキニ158cm以下級では8位という成績を収めた。 【写真】小竿愛子選手の横から見ても丸いヒップ
世界選手権に向けて強化した点は主に2つ。 「とにかくウォーキングをがんばりました。クォーターターン(※)はずっとがんばってきたのですが、ステージに立てば立つほど、ポーズを取る前までがいびつで、それがトップ選手との差につながっているのでは、と思いました」 (※)右回りで1/4回転ずつしていき、前面・左側面・背面・右側面の4方向で規定ポーズを行う。 「がんばる」と言っても人によってその程度はさまざまだ。小竿選手の「がんばる」は11月まで5つのジムを契約しており、そのうちの一つがスタジオだけのジム。職場の目の前のスタジオに、仕事が終わったら荷物を持って直行、スタジオの用具入れでビキニに着替え、カーテンを閉めて一人で歩き続ける。鏡を見ながら、次は鏡を見ずに、とにかく歩き続けたという。 「いろいろな方にアドバイスをいただきながら、雰囲気づくりの強化も取り組みました」 もう一つの強化部位はお尻。 「K-BODY DESIGNの佐藤トレーナーに習って、お尻のトレーニングを見直しました。今までは下部を鍛えるトレーニングになっていたので、お尻のトップに効くようにフォームを全部変えて進化することができたと思います」 大会当日の小竿選手の予定は10時から11時にメイク、14時から試合。会場では13時からオープニングセレモニーがあるので、メイクが終わってからカラーリングをする予定だったという。ところが突然変更があり、セレモニー前に予選が始まることになった。 「カラーリングもできず、食べ物も手元になく、塩も水も油も摂らずパンプもしていない状態で1ステージ目。1年間の集大成の大会にこんなバタバタで出ることになるんだ、今日はすごい日だなぁ、と思いました」 マスターズは20人の出場者。ピックアップ審査、予選、決勝と3回ステージに立つことになり、回を追うごとに落ち着いてきたという。「やってきたことをやるだけやし」。 想定外のことが起きたときこそ、今まで積み重ね、身体に染みついたことがステージに出るのだろう。この数カ月、いつもウォーキングのことが頭から離れなかった小竿さんは4位という好成績を収めることができた。ほっとする時間もなく、マスターズの表彰式後もすぐに身長別の試合が始まった。身長別から出場する若い選手にはパンプアップする時間があった中で、「ダッシュで最中を取りに行く時間しかなかった」という小竿さんの8位という成績は大健闘と言えるだろう。 「海外の選手はボリュームやトレーニングの仕方、丸みが違うなと思った反面、日本の選手は絞りやポージングがみんな上手だと思ったのが正直な感想です。日本って強いなと思いました」 有酸素運動はスタジオレッスンのZUMBAのみで、上半身も下半身も絞ることができるという小竿さん。 「私は減量が得意で増量が苦手。筋肉がつきにくいので、オフシーズンが大事だと思っています。コンディショニングやトレーニングも狙う部位を定めて、肩や脚に丸みがほしい。それはトレーニングだけでなく、身体の使い方も大きいと思うので、ストレッチや可動域を広げることを取り入れてみたいです。上半身の大きさも課題で、この2年間上半身のトレーニングに費やしてきて、やっと最近上下のバランスが整ってきたのかなと思える状態になってきました」 実は小竿さんが優勝したのは2022年の地方大会、大阪府オープン大会(キングオブフィジーク)のみ。「優勝してタイトルが欲しい」という小竿さん。2025年こそタイトルを獲る年になるのか、注目したい。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材:あまのともこ 撮影:中原義史