トヨタ”最高級クラウン”「マジェスタ」がスゴかった! 大排気量「V8エンジン」搭載の超“豪華内装”モデルとは?
「いつかはクラウン」のフラッグシップセダン…「マジェスタ」とは?
「クラウンマジェスタ」は、トヨタが1991年から2018年まで生産・販売していた高級セダンである。「クラウン」と「セルシオ(北米名称:レクサス「LS」)」の中間に位置するモデルとして登場し、6世代にわたり進化を遂げた。 【画像】超カッコイイ! トヨタ最高級「クラウン」を画像で見る(66枚)
トヨタのなかで、プレミアムブランドのレクサスが高級車のイメージを牽引しているが、レクサスブランドの誕生以前は、“クラウン”が高級車の代名詞として広く認知されていた。 クラウンは、8代目クラウンの最上級グレード「4000 ロイヤルサルーンG」を最後に「クラウンマジェスタ」へと進化し、セルシオの存在に勝るとも劣らない豪華さとパフォーマンスを提供するモデルとして、クラウンシリーズにおける特別な位置を占めるようになったのだ。そしてマジェスタはクラウンのフルモデルチェンジに伴い、さらなる進化を遂げる。 「クラウンマジェスタ」の初代(1991年-1995年)は9代目クラウンと同時に登場し、新開発の4.0リッターV8エンジンを搭載し、クラウンシリーズの最上級モデルとして位置づけられた。この強力なエンジンは、クラウンのなかでも最高峰の性能を誇り、他のクラウンモデルとは一線を画していたのだ。 2代目(1995年-1999年)は、デザインを直線的に変更し、縦型のリアコンビネーションランプを採用。エンジン出力の向上や安全装備の充実が図られた。 3代目(1999年-2004年)では、ボディ形状をハードトップからセダンに変更し、プラットフォームを刷新。環境性能や安全性能の向上が図られる。 4代目(2004年-2009年)は、デザインと性能の両面で大幅な進化を遂げ、エンジンやサスペンションの改良が行われた。先進的な技術を多数搭載したことで注目を集め、VDIM(Vehicle Dynamics Integrated Management)と呼ばれるシステムで、クルマの挙動を安定させる目的で、アクセル、ブレーキ、ステアリングを統合制御し、走行安定性が飛躍的に向上した。 同時に低速追従モード付きのレーダークルーズコントロールも世界初の量産車として搭載され、当時の最先端技術が惜しみなく投入されていた。 5代目(2009年-2013年)では、ハイブリッドモデルを追加し、燃費性能と環境性能の向上を実現した。 そして最後の6代目(2013年-2018年)、クラウンシリーズの一部として位置づけられ、最終的に2018年に生産終了となったのである。 クラウンマジェスタは、各世代で最新の技術と高級装備を取り入れてきた。初代モデルでは、フロントガラス上に情報を表示するヘッドアップディスプレイ(HUD)を標準装備し、他車との差別化を図っていた。また、V型8気筒エンジンや4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションなど、高性能メカニズムも採用している。 クラウンマジェスタのユーザーは、高級感と快適性を重視する層が中心で、特に後部座席の広さや乗り心地を求める法人需要やハイヤーとしての利用が多く見られた。 また、セルシオやレクサスLSよりも手頃な価格で高級車を求める個人ユーザーにも支持されたのである。 まさに「いつかはクラウン」というキャッチコピーにも象徴されるように、庶民の憧れの一台となっていたのだ。 時代の変遷とともにマジェスタはその独自性を失い、2013年に登場した13代目クラウンからは、マジェスタは「ロイヤル」や「アスリート」と並ぶシリーズの1つとして統合され、特別なモデルという位置付けが薄れていく。 2018年に登場した14代目クラウンでは、ついにマジェスタの名前が姿を消す。クラウンは、長い歴史の中で数多くの進化を遂げ、マジェスタは、そのなかでも特別な存在として、多くのユーザーに愛され、またその高い技術力で日本車の地位を世界に知らしめる役割を果たしたのだ。
中兼 雅之