篠原涼子「経験を元手に演じるからこその真実味がある」愛に身を投じる女を生きる舞台『見知らぬ女の手紙』
篠原涼子さんといえば、1990年代から音楽にドラマ、映画と幅広く活躍を続けてきたマルチアーティスト。今年2024年の12月25日からは舞台『見知らぬ女の手紙』(東京・紀伊国屋ホール)で濃厚なメロドラマの世界を表現していく。10代からいまに至るまで、多彩な人の生きざまを演じてきた篠原さんのTHE CHANGEとは。【第1回/全4回】 ■【画像】「経験を元手に演じる」と話した篠原涼子の人生の転機は──。オリジナル動画 1990年代には『恋しさと せつなさと 心強さと』のミリオンヒットで日本音楽界のスターになり、2000年代には『ハケンの品格』(日テレ系)や『アンフェア』シリーズ(フジテレビ系)などのドラマでカッコいい女性を好演。いつでも人々の憧れで居続ける篠原さんは取材の場でもクール、しかししっかりと言葉を選びながら、作品への思いを語ってくれた。 「これほどの分量のセリフをひとりで話すのは初めてです。必死で頑張らないといけないなと思いつつ、ご一緒するステキなバレエダンサーの首藤康之さん、翻案と演出を手がける行定勲さんとも初めて作品を作りますので、大切に演じようと決め“やらせていただきます”と即答しました」 『見知らぬ女の手紙』の原作は1922年に書かれたオーストリアの文豪シュテファン・ツヴァイクの小説。行定さんが翻案したこの舞台では、著名なピアニストである“男”のもとに名前も知らない“女”からの分厚い手紙が届く。篠原さん演じる、男が名前も知らないその女は、13歳の少女のころから男をずっと慕っており、手紙にはその恋情が延々とつづられていた……。 「13歳で初めて好きになった男性を一方的に愛し続けていた、というストーリーだけを見たら、すごく狂気的に思えます。共感できるかできないかでいえば、やっぱりこの“見知らぬ女”には共感できないかもと最初は思いました。でも読み進めていくと、すごく切なくて包容力があって、優しい女性にも思えるんですね」 人の愛の形を問うた物語。13歳から28歳までの“女”の感情を、男にあてた手紙を通じて語っていく。 「彼女は首藤さんが演じる“彼”を包み込むような、優しい愛情を持っているんだなと考えました。普通、彼女のように相手に振り向いてもらえなかったら、感情をむき出しにしたり、相手を逆恨みしてもおかしくはないですよね。他人が自分の思い通りにしてくれないなんてよくあることです。でもそんなときでもこの人は、彼の無関心なところまで受け入れて愛している。無償の愛を体現していると思います」