SNSで育児社員を“子持ち様”とやゆ 「働くな」と批判も なぜ? 人事のプロが指摘する“根本的な問題”
組織コミットメントを高めるには?
そこで、会社側に求められるのは、社員が、同僚の子育てによって発生する役割外の仕事を自ら進んで行うとともに、そのことについて、不満に思わなくてもいられるよう、自然に組織コミットメントを持てるような環境を整備することではないかと思います。会社が、社員の組織コミットメントを高める方法には、さまざまなものがあります。 例えば、社員に対し、その人の能力が生かせる仕事をそれぞれ割り当てることで、社員が「この組織では自分を生かすことができる」と思うようになれば、組織コミットメントは高まります。 また、会社の理念やビジョンなどを常に発信し共有することで、「この組織で働くことには意味がある」と思えることや、仕事をする際の「資源」、すなわち、上司からのサポートや人間関係の良さ、公正な人事制度、効率的に仕事ができるツールなどを整備することで、「この組織は働きやすい」と思えることも、組織コミットメントを高める材料となるでしょう。
働く人の意識に任せず、会社として責任を持つべき
せっかく縁あって共に働く仲間なのですから、子育ての苦労をサポートすることに不満を持つのでなく、気持ちよく支援をしてあげたいものです。 しかし、それを社員個人の意識に任せてしまうのは、会社の無責任です。少子化に悩む日本において、未来を担う子どもは社会の宝なのですから、子育てを頑張っている同僚を「子持ち様」などとやゆするような職場を少しでも減らしたいものです。 それを実現するためには、同僚の大変な状況を自然にサポートしたいという気持ちを持てるように、会社や上司が自身の責任として、社員の組織コミットメントを醸成することが重要なのではないでしょうか。
人材研究所代表 曽和利光