アドビ株急伸、通期利益見通しを上方修正-AIブーム追い風
(ブルームバーグ): ソフトウエアメーカーの米アドビの株価が13日の米株式市場時間外取引で急伸。同社はクリエーティブ製品の売上高が今後好調に推移する見通しを示し、顧客が人工知能(AI)ベースの新ツールを採用していることを示唆した。
新たなクリエーティブソフトウエア事業の注目指標であるデジタルメディア部門の年間経常収益(ARR)は今四半期に4億6000万ドル(約722億円)となる見通し。市場予想平均は4億3520万ドルだった。
グラフィックアートの専門家向けソフトで長年業界リーダーだったアドビは生成AIに自社の市場を切り崩されると投資家は懸念していた。しかし、今回の決算は自社製品にAI機能を組み込むアドビの取り組みが、新興技術に注力するスタートアップなど小規模なライバル企業と競合する中で、顧客の支持を集めていることを示唆した。
ダン・ダーン最高財務責任者(CFO)は決算発表後の電話会見で、今年度いっぱいは新しいクリエーティブ事業が加速すると予想していると述べた。
アドビは通期1株利益見通しを一部項目を除いたベースで最高18.20ドルに上方修正。従来予想は18ドルで、アナリスト予想平均は18.02ドルだった。
アドビ独自のAIモデル「Firefly」は、「Photoshop」や「Illustrator」などの主力製品に組み込まれている。同社はビデオ編集ソフトの「Premiere」でも同様の技術の開発に取り組んでいる。シャンタヌ・ナラヤン最高経営責任者(CEO)は、このモデルが90億枚以上の画像生成に使用されていると説明。新たなイノベーションにより、アドビは「拡大するユーザー層」を引きつけることができていると電話会見で述べた。
株価はニューヨーク市場の通常取引で458.74ドルで終了した後、時間外取引では一時537.38ドルに上昇。
13日の発表資料によると、3-5月(第2四半期)の売上高は10%増の53億1000万ドル。一部項目を除いた1株利益は4.48ドル。ウォール街の予想では、売上高は52億9000万ドル、1株利益は4.40ドルと見込まれていた。顧客はFireflyの利用が増える比較的高額なプランに更新していると同社は説明した。