「デモ」や「花火」の参加人数ってどう数えるの?
安保関連法案が衆議院特別委員会で可決された7月15日、法案に反対する人たちが国会を取り囲みました。一部の報道では、10万人が国会を取り囲む集会に参加したとされ、安保法制への関心の高まりとともに話題となりました。その一方で、一部メディアでは「警察関係者によると6~7000人が参加」と伝えられました。10万人と6~7000人では十数倍もの差があります。 こうした「参加者数」では、たびたび「主催者発表」と「警察発表」に大きな違いが見られますが、実際にデモや集会の参加人数、そして、花火や祭りなど地域で行われるイベントの観光客数は、どのように発表されているのでしょうか。
警視庁は「発表しない」
集会の主催窓口となっている複数の団体に問い合わせると、当日は安保法案が衆議院で可決されるという「緊急事態」で、国会前にかなりの人数が集まり混乱していたこともあり、正式に10万人という数字を発表したという確認はできませんでした。 警視庁に確認すると、「警視庁では、イベント・デモ・集会などの形態に関わらず、動員については一切発表してない」とのこと。しかし、私たちが日常的に触れる報道では「警視庁発表」「警察関係者によると」などの文字を目にします。大手メディアの記者が、このカラクリを解説してくれました。 「現在、警察では正式に発表していないので、警察担当の記者が警備や広報の担当官から個別に取材して聞き出している」 メディアで報じられていたとしても、その数字は警察から正式に発表されているわけではないようです。記者が個別取材で聞き出した情報が「警察発表」というような形で報道されるのです。しかし、警察からは公表されていないこともあり、最近の新聞などでは主催者から正式に発表された数字だけを記事に掲載する傾向があるようです。
観光庁が「共通基準」
では「主催者」として発表される数字に基準はないのでしょうか。 観光庁では、2009年度から「観光入込客統計に関する共通基準」を発表し、日常的な観光客の観測と、各イベントごとの観測の仕方について、統一した基準を設けています。 ただし、あくまでも基準であって、これで統一されているという訳ではありません。観光庁観光戦略課調査室の青柳信吾さんによると「観光庁で示している『共通基準』は、あくまでも各都道府県や地域への呼びかけですので、強制力はありません。イベントなどの主催団体によって、統計の仕方が必ずしも統一されているわけではないので、個別のイベントなどについては、個々の主催団体に確認していただくしかないのです」と言います。