子どもには体験が重要、でも親が必死に「やらせる」のは逆効果 教育研究者に聞く、子どもの力を伸ばす“3つの心がまえ”とは?
1)親は子どもに「小さなケガ」をたくさんさせよう 子どもが初めての体験をするとき、親はつい「失敗しないように」と先回りして危険なものを排除したくなるものです。親心からではあっても、それでは子どもは失敗に対する耐性が低下して「自分で困難を乗り越えていく」意識も力も育ちません。子どものうちに「小さいケガ」をたくさんさせることが、結果的に「大きなケガ」を防ぐことになるという意識で子どもと接することができるといいですね。 社会に出れば不合理、不条理なことはたくさんあり、それを自力で乗り越えなくてはいけません。子どものころから多少の不快や困難を「あえて経験させる」くらいのつもりでいいのです。 2)親自身もいっしょに「楽しい体験」をする 親が楽しそうにやっていることには、子どもも興味を感じる傾向があり、これを「ミラー効果」といいます。「私は泳げないし水は嫌いだけど、あなたもそうなったら困るから水泳を習いなさい」と言われるよりも、「お母さんも泳げるようになりたいんだよね」と子どもといっしょにプールに行って楽しめば、子どもが水泳に興味を持つ確率はぐんと上がると思いませんか? 親から「やりなさい」と言われてやる体験より、子ども自身が「やりたい」と思って取り組む体験のほうが、はるかに非認知能力、例えば探究心や目標への情熱、忍耐力、他者への思いやり、自信などが育まれます。 親も子どもといっしょにさまざまな体験をすることで、さまざまな気持ちを共有できるはずです。親が笑顔で楽しむ姿を見て子どもは安心して、思いっきり体験を楽しむことができるのです。 3)「体験しっぱなし」にしない いくらさまざまな体験をしても「おもしろかったね」だけで終わらせては、学びにつながりません。体験が楽しければ子どもは感じたこと、考えたことなど親に話したくなりますので、じっくり聞いてあげましょう。失敗したり負けたりといった話にもダメ出しやアドバイスではなく、子どもの気持ちに共感するのがポイントです。落ち込んだり悩んだりしているときは、親は「こうしなさい」という指示ではなく、解決や学びに「つながるヒント」を出せるといいですね。