子どもには体験が重要、でも親が必死に「やらせる」のは逆効果 教育研究者に聞く、子どもの力を伸ばす“3つの心がまえ”とは?
――子どもの社会性を育めるような体験についてはどうでしょうか? 「親や学校の先生以外」の大人と交流する機会をもつといいでしょう。そのような大人に出会うとき、子どもは「言葉を選び」、その場にふさわしい言葉で表現しようとします。外国人や障害を持った人、高齢者と交流できるイベントなどに参加するのもとてもいいことです。普段とは異なる文化や人々との交流を通して、それまでの常識や先入観を超えて、視野が広がります。自分とは違う背景をもつ相手を思いやる心も育ちます。 ――体験というと、習い事もありますよね。 「習い事」は意欲と関心に基づく体験です。子どもが興味をもったら積極的に取り組めるようにするといいでしょう。スポーツや楽器、アート、将棋や囲碁、プログラミング……、なんでもいいのです。 親が「させたい」ことではなく、子どもが内から発する気持ちで「なんかちょっと〇〇やってみたいな……」と感じたことを大切にして取り組めるようにできるといいですね。習い事によってスキルが上達すれば自信になるし、もっと上手になりたいという意欲や向上心も育まれます。チームスポーツなら協調性や団結心も育つでしょう。 このように体験をたくさん経験すると、子どもは「自分は何が好きなのか」「どんなことに興味をもちやすいのか」がわかってきます。自分自身を知るということは、メタ認知(自分を客観的に見つめる)力を上げます。体験の幅は広ければ広いほど、子どもが好きなものに出合う確率も高くなります。 ■子どもに体験をさせるときに親が心がけたい、三つのこと ――「あれもこれもやらなくては」と焦る気持ちが芽生えそうですが、親は子どもの体験をどのようにサポートすればいいのでしょうか? いくら子どもに体験をさせることがいいからと、親が必死になってやらせるのは逆効果です。大人だって自分がやりたいことをやるのが楽しいのであって、人からやらされたら不愉快になりますよね。子どもの体験を親は見守り、「いっしょに楽しむ」くらいのスタンスでいてはどうでしょうか。親御さんに心がけてほしい三つのことを紹介します。