日本代表の1年半後は「バラ色ではない」 “6戦22発”アジア無双も…W杯で苦境の可能性【コラム】
不動コンビの後継者が不在…W杯本番までに台頭者は現れるか
日本はこの9月から11月までの6戦で5勝1分とし、2位に9ポイント差をつけてC組首位を独走。森保監督は微調整を加えながらではあったものの、戦術的に大きな変更点を加えることなく戦い抜いた。それこそ森保監督の腹の内が温厚そうな表面とは違ってとても強気だという証拠だろう。そして「得点力不足」「セットプレーからの得点の欠如」という、これまで課題とされた部分を解決して見せたのだった。 また最終予選からはターンオーバーを少なくする方針の下、出場選手が絞り込まれた、11月は谷口彰悟の欠場で守備ラインにいろいろ手を加えたが、ある程度固定したメンバーで戦ったおかげで連係は増している。チームの成熟度は高まったと言えるだろう。 ただし、今見えている未来のすべてがバラ色というわけではない。 日本が想定しなければいけないのは、ワールドカップ(W杯)本大会でどう戦うかということだ。今はアジアの国を相手にしているので、日本が隙を見せても相手にそこを突いてくる力がないだけ。中盤でボールを奪われた時の対応などは実際に強豪国と対戦してみなければどれくらい対応できるかは分からない。 日本が3バックの形も見せたことで本大会では十分な対策を練られてくるだろう。今は3バックで押し込めているが、逆に押し込まれる事態も経験しておかなければならないはずだ。 さらに2022年カタールW杯の時も多くの選手が負傷に悩まされていた。選手たちが強度の高いリーグで戦っている限り、2026年も同じように出場できない選手が出てくるはず。そのためには今、厚いように見える選手層をもう一段階増やしておかなければ、そこに穴が出来てしまう。特に遠藤航と守田英正という不動のコンビはどちらが欠けても苦しい。このポジションに誰が台頭してくるかは来年の課題だ。 2025年に予定されている日本代表の試合は、現在のところ最終予選の4試合だけ。まずは3月20日のバーレーン戦で勝利して本大会出場を決めたあとに、戦術のバリエーションと選手層を増やしつつ、チームをさらに成熟させなければいけないだろう。 その意味で、日本代表にとって来年一番大切なのは、どんな強豪とマッチメイクできるかになる。だがここで問題がある。これまで対戦した相手の監督を次々に追い込んでしまった森保監督と、誰が対戦してくれるのだろうか……。 [著者プロフィール] 森雅史(もり・まさふみ)/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。
森雅史 / Masafumi Mori