今季女子ツアーで頭角を現わした桑木志帆と佐久間朱莉 永久シードプロが分析するそれぞれの強み
しかしその後、資生堂レディスでツアー初優勝。このときは、堀琴音さん、小祝さくらさんらと優勝争いを演じて、彼女は最終組でずっと攻めていました。1打差リードで迎えた最終18番ホールでも、緊迫した状況にあって(ラフからの第3打で)上げて止めるアプローチを決めて見せました。「取り組んできたことができてよかった」と彼女は言っていました。 ――メンタル面に課題がありそうですが、外から見ている分にはまったくそういうタイプには見えません。 森口 一見、ふてぶてしく見えるかもしれませんね(笑)。でも、内面は"おこちゃま"的なところもあって......。うまくいかないときに、少し気持ちのアップダウンがあるタイプなんです。それでも(プロになって)いろいろと経験して、ラウンドの仕方が少しずつ変わってきたんじゃないかなと思います。 あと、初優勝を飾ったあと、8月のNEC軽井沢72で予選落ちしているんですけど、初日に見かけて「疲れた顔しているね」と声をかけたら、「ゴルフがうまくいかない」と言ってだら~っとしていたんですよ。さらに2日目、4つボギーを叩いてハーフターンで戻ってきたタイミングでも「もう疲れちゃった......」と言っていて。 それでその際、彼女を叱咤というか、鼓舞したんですよ。「人間には義務と権利があって。あなたはプロゴルファーで、1勝した人間だよね。ジュニア時代、何を思ってゴルフをやっていたの?」と聞いたら、「プロになりたいと思ってやっていました」と。「そうだよね。じゃあ、この夏休みにあなたのゴルフを見に来たジュニアゴルファーに、あなたのゴルフを見せて(そういう気持ちを)つなげていくのが、私たちプロの役割でもあるんじゃないの?」と言ったんです。 そうしたら、後半はハーフ2アンダーで回ってきて。予選落ちはしたんですけど、「この子は脈があるな」と。あらためて純粋でいい子だなと思いました。今後のさらなる飛躍に期待したいですね。 ――一方、佐久間選手はいかがでしょうか。 森口 彼女も明るい性格。あるトーナメントのプロアマの日に(スタート前の)テントに来て、私が「女優さんが来た!」って言ったら、瞬時にポーズを取ったりしてノリのいいタイプ。 私が好きなのは、彼女のスイング軌道。テイクバックを低く長く上げていって、(フォローに向けては)低い姿勢から粘り強く体全体を使って振っていく感じ。スッとコックを入れてピュッとバックスイングを上げる人もいますけど、私もバックスイングではゆっくり低く長くとっていたので、佐久間さんのような上げ方のほうが好みなのかもしれません。