日本人には“野望”が足りない? スタートアップ育てる世界的VCの東京ブートキャンプ 応募わずか「2割」
ベンチャーキャピタルなどによるブートキャンプにはどのようなメリットがあるのか? VISITS Technologies株式会社 CEOの松本勝氏は「指導を受けたり、ピッチ(短く説得力のあるプレゼン)をして資金調達を得る以外にも、『あのプログラムに選ばれたならば安心だ』などと信頼を得てその後の企業成長の資金調達もしやすくなることも可能だ。日本にはこういったケースがなかなかないが、そういう文化ができれば、こうしたプログラムに参加することで信頼を得やすくなる」と解説した。 さらに、参加者同士のコミュニティができることを指摘し、「プログラムに参加した人同士のコミュニティができ、終了後にも、苦しいことがあった際に慰め合ったり苦しい時も助け合うことができる。さらに、情報も手に入りやすくなるのでメリットは大きい」と語った。 また、松本氏は日本人の応募者が2割程度だったことについて「すでに資金調達をしている起業家などはプロダクト作りなどで忙しく、本当は参加したくても他に時間を割けない状況だったのでは」と推測。さらに日本のスタートアップは上場するタイミングが早すぎるため、もっと規模を大きくしてユニコーンを目指すべきではないか、という指摘に対して「日本における投資家と起業家の関係性」を説明した。 「理想的にはその通りだ。だが、日本のスタートアップは赤字でもいいから世界最速でプロダクトを作って将来大きく成長するという戦略を取っている。ただ、赤字なので定期的に資金調達をする必要がある。ところが、ある程度会社の規模が大きくなってくると、日本では出資してくれる投資家の数が減ってくる。起業直後は資金調達しやすいが、次のステージではより高い成果が求められハードルが高くなっていき、どんどん淘汰されていくのが実情だ。実は、ベンチャーキャピタルの投資サイクルの多くが10年なので、10年以内に回収しなければいけない。回収するには上場が必要なので起業後10年が近づくと投資家から『そろそろ上場してくれよ』というプレッシャーがかかり、そこまで成長できない」