国際エグゼクティブコーチが教える「社内の人に頼みごと」をするときの2つの秘訣
数社のコンサルファームやロレアルといった世界のトップ企業で10カ国20年以上のキャリアを積んだあと、国際エグゼクティブコーチとして独立し活躍する、ヴィランティ牧野祝子さん。 国際エグゼクティブコーチが教える「社内の人に頼みごと」をするときの2つの秘訣 2024年春には『結果を出してサクッと帰る 神速時短』(すばる舎)を上梓し、ご存じの方も多いのではないでしょうか。 今回はそんな牧野さんにインタビュー。ご本人も実践する、おすすめのTiny hackを教えていただきました。
相手が楽しんでできることを頼む
“デキる人”のイメージがある牧野さんですが、「前はいつも時間がなくて、仕事も進まず、悩んでいました」と、過去を振り返ります。 その状況が限界に達したのは、40歳前後。職場ではプレイングマネージャーとして働き、家では3人の子育てで多忙を極めていた頃に、気づきがあり、ちょっとしたブレイクスルーを体験します 仕事を抱えこみがちな性格だったのですが、これはもう部署の人に一部をお願いするしかないと決心。嫌がられるのでは…と恐る恐る頼むと、むしろ喜んで引き受けてくれたのです。 実は、人は頼まれるとうれしいと思うものなのですね。ただ、それには条件があって、相手が得意なことや楽しんでやってくれることでないとうまくいきにくいのです。 詳しくは著書『結果を出してサクッと帰る 神速時短』(すばる舎)に書いていますが、価値追求マトリクスを紹介します。 横軸には、「他の人にはできないこと」「他の人でもできること」、縦軸には「楽しめること」「楽しめないこと」があります。 自分が依頼したい内容が、「他の人ではできないこと」かつ「楽しめること」であれば、引き受けてくれる可能性は高い。結果、自分も相手も仕事の効率が上がるし、チームとしても成果が最大化されるのです。
自分の考えを周囲に「開示」しよう
社内の人に頼みごとをするには、もう1つ秘訣があると、牧野さんは言います。 キーワードは、自分の考えや想いの「開示」。日頃からこれをできていることが、必須といってよい条件だそう。しかし、日本人のビジネスパーソンの多くができていないと言います。 さまざまな国の人と仕事をしてきましたが、日本人は、責任感が特に強いと感じます。そのせいで、できるだけ自分で解決しようとがんばってしまう。日本ならではの「人様に迷惑をかけてはいけない」という価値観が強く出ていますね。それ自体は悪いことではないのですが、グローバルで仕事をする際に、裏目に出ている気がします。 自分のかつての体験から、日本人の上司は、いつも考えて悩んでいるイメージがありました。でも、海外に出て現地の上司を見ると、結構楽しそうに仕事をしているし、休暇もいっぱい取って、それでも仕事がちゃんと回っている。 それは、1人でずっと悩まないからなのです。何か悩みの種ができたら、部下にも相談しています。いい意味で、みんなを巻き込んでいるから、悩まずに仕事がさくっと終わるのです。これは、開示がうまくいっている好例です。 新入社員や部署を異動して間もない人は、開示がとりわけ重要です。相手が得意なことを頼むといっても、そもそもお互いに何が得意なのかわからない。なので、それは対話を重ねながら、開示し合います。