シリアでアサド政権崩壊、イスラエル軍が首都近郊まで進軍との報道…混乱に乗じて侵攻の可能性
【エルサレム=船越翔、ワシントン=淵上隆悠】イスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエルは10日、複数の関係者の話として、イスラエル軍がシリアとの国境にあるゴラン高原の緩衝地帯を越え、首都ダマスカスの南西約25キロ・メートルの都市カタナまで進軍したと報じた。イスラエル軍は否定しているものの、シリアのアサド政権崩壊による混乱に乗じてシリア国内への侵攻を強めている可能性がある。 【写真】モスクワでプーチン大統領と会談するアサド大統領(7月24日)
イスラエル紙ハアレツは、シリア南部の複数の村を占領したとの情報を伝えた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は9日の記者会見で「ゴラン高原は永遠にイスラエルの一部だ」と強調した。
イスラエル軍は9日、ダマスカスや地中海沿岸の西部ラタキアなどの軍事拠点を空爆した。アサド政権の武器流出を阻止する狙いとみられ、在英シリア人権監視団は空爆はこれまでに150回に及んだとしている。
イスラエルの動きに対し、エジプトやサウジアラビアは「シリアの治安回復の機会を損なう」(サウジ外務省)などと非難している。
一方、米国務省のマシュー・ミラー報道官は9日の記者会見で、イスラエルの緩衝地帯への侵攻を擁護する姿勢を示した。