「行かず」「待たず」「書かず」子育て世代の手続き、スマホで完結 三重・明和町
デジタル化で職員業務も変革 アンバサダーに町民4人
三重県多気郡明和町は、住民が自宅で一部の行政手続きをデジタルツール上で完了できる「子育てDX実証プロジェクト」を始める。子育て世代に関わる10の手続きをデジタル化し、スマホから簡潔に行うことができる他、役場窓口の事前予約ができるなど、子育て世代の負担を軽減するとともに、町職員の業務を抜本的に変革する。プロジェクトの本格始動に合わせて30日午後2時からは、中村のインキュベーションセンターでアンバサダー4人の任命式を行った。
町では、目指す将来像を「住みたい、住み続けたい、豊かな心を育む、歴史・文化のまち 明和」と定め、さまざまな取り組みを進めている。今年1月には町役場の「変革を前提としたデジタル化」を目指す「2040変革推進宣言(Beyond2040)」を発表。マイナンバーカードを活用した住民の利便性向上と業務効率化を図る総務省の「フロントヤード改革モデルプロジェクト」のモデル自治体に選ばれた。 今回の子育てDX実証プロジェクトでは、「制度を知らなくても、子育て世代の暮らしに行政サービスが溶け込み、いつでもどこでも、都合に合わせて行政手続きを進めることができる」ことを理想に掲げ、「役場に行かないからラクラク!」「待たなくていいからスムーズ!」「書かなくていいからカンタン!」の3本柱とする。 「行かない」手続きでは、デジタルサービスポータブル(手続きナビ)で、現在の状況などについて質問に答えていくことで、すべき申請などを表示する他、デジタルサービスツールやデジタルIDを使い申請をより手軽にスマホなどで行うことができる。またデジタルポストに町からアンケートや通知などが送られ、いつでもどこでも情報を見られるようにする。 「待たない」では、スマホから役場窓口の予約を取ることができ、決められた時間に確実に手続きを可能にした他、あらかじめ担当者が準備できることから職員の負担も軽減できる。 「書かない」はマイナカードを活用し、住民が書類を記入しなくても申請が行えるようになる。 まずは子育て世代を対象に実証プロジェクトを進めていき、今後、あらゆる分野でデジタル完結を目指していくという。 また「みんなでつくる明和町子育てDX」の実現を目指し、4人のアンバサダーが就任。システム検証への参加や助言、SNSでの情報発信など住民へのプロジェクト認知、利用の促進を図る。 30日午後2時からの任命式では高橋真衣さん(41)=斎宮、出口恵利さん(34)=同、安井伊津佳さん(31)=馬之上、濵口美咲さん(31)=斎宮=が下村由美子町長から任命書を受け取った。代表して高橋さんが「子育て世代から、行政手続きに役場に行きづらいとよく聞きました。私たちが伝えていく役割を果たし、またたくさんの方の声を聞いて反映に努めていきます」などと意気込みを話した。 下村町長は「より安心、快適に子育てができるようにこのプロジェクトがある。自宅でデジタルで完結できる新しい形の行政サービスを目指し住民に広く認知してもらいたい」と期待した。