（ブルームバーグ）： 米中央情報局（ＣＩＡ）は、中国人の勧誘を強化している。中国の習近平国家主席の統治に対する不満が高まっていると米当局者は見ており、オンラインで取り込みを図っている。

ＣＩＡは２日、インスタグラム、フェイスブック、リンクトイン、ユーチューブ、テレグラム、Ｘ（旧ツイッター）上で、オンラインやダークウェブで個人がＣＩＡに安全に接触する詳細な方法について、中国語で説明した。

ＣＩＡのコーエン副長官はインタビューで「中国には、情報にアクセスでき、習政権に不満を抱いている人々が大勢いる」と語り、こうした人々が、「米国と協力することで、自国を助ける道があると理解している」と指摘した。

オンラインでの働きかけは、人類の５分の１を占める中国を、習氏が過去数十年見られなかったほどに掌握し、国家主席の任期を廃止し、親しい仲間で指導部を固め、さらには銀行家たちに「習近平思想」の研究を強制し、反対意見を封殺している中で行われた。また、中国政府が続けた数年間にわたる厳しい新型コロナウイルス規制で、中国経済は現在もダメージを負っており、景気減速が抗議活動の増加につながっている。

米国は中国政府の動向の把握に苦心しており、バイデン政権は中国政府指導部中枢の情報の欠如にいら立ちを募らせている。中国が不透明性を増すにつれ、習氏の意思決定に関する洞察の必要性は増している。特に台湾や先端技術などの問題を巡っては、米政府との緊張が高まっている。

中国における広範な情報収集について、ＣＩＡや米国の情報機関は能力を疑問視されてきた。米紙ニューヨーク・タイムズは17年、中国政府が数年にわたり、ＣＩＡによるの中国国内でのスパイ活動を妨害してきたと報じた。

中国は近年、一般市民や政府職員、大学生にまで、外国のスパイ活動に対する警戒を呼びかける取り組みを強化している。国外に流れる気象データの取り締まりにまで踏み込む徹底ぶりだ。