「何やっているか分からない」地方議会、議会が出したいものだけを情報発信
早稲田大学マニフェスト研究所の「議会改革度調査2015」では、全国の地方議会でどのくらい議会改革が進んでいるか、アンケート調査を実施し、「情報共有」「住民参加」「議会機能強化」の3つの観点に分けて、回答結果を数値化しています。その中から「情報共有」について詳しくみます。
本会議議事録公開にかかる日数3カ月 約半数の議会
同研究所の中村健事務局長は、「入学式や卒業式、地域の祭りなどの集まりにやってくる地方議員が多いから、住民は個々の議員のことは知っている。でも議会は、となると何をやっているのかわからない人が多い」と指摘します。そこで「議会が何をやっているのかオープンにしよう」という狙いで「情報共有」に関した設問をつくりました。 具体的には、本会議などの議事録や動画、政務活動費・視察結果の公開などを尋ねています。その結果、議事録の情報については、本会議は紙媒体(71.1%)、インターネット(83.3%)などで公開が進んでいますが、全員協議会の場合は紙媒体(13.4%)、インターネット(8.2%)公開も1割前後にとどまり、非公開(21.5%)の値が高くなりました。その他の常任委員会や特別委員会の議事録も、紙媒体、インターネットともに公開実績は2~3割程度にとどまっています。 その本会議の議事録公開までに要する日数も、14日まではわずか0.8%、1カ月でも1割以下しかなく、全国のほとんどの議会は2カ月(40.5%)、3カ月(49.4%)かかっていることがわかりました。 議会の映像(動画)公開状況については、本会議はインターネット生放送(40.7%)、ケーブルテレビなどの生放送(21.9%)、ケーブルテレビなどの録画放送(24.4%)、インターネットの録画放送(50.3%)というようにインターネットを使った公開を行う議会が半数近くになってきていますが、こちらも本会議以外の議会運営委員会、全員協議会、常任委員会になると8割以上が非公開のままです(グラフ1)。 インターネットに動画を掲載するときに、議案や資料を関連付けて確認できるようになっているか、という設問では「会議名のみ」(39.2%)という議会が最も多く、議案は1割程度、議事録(6.7%)や審議資料(1.9%)などを合わせて閲覧できるような工夫は、ほぼ実施されていない状態でした。