「マイナ保険証」高齢者施設&歯科医院で浮かぶ問題点
マイナ保険証を預かることを拒否する高齢者施設も出てきています。一体なぜなのでしょうか。 【画像】なぜ?高齢者施設で紐づけ解除の動きも マイナ保険証のリスクとは
■なぜ、ひもづけ解除へ?
施設は、苦渋の決断です。 特別養護老人ホーム「葛飾やすらぎの郷」天野義久さん 「今の段階ではマイナ保険証は、お預かりできませんという形で、現行の保険証で対応させてほしい」 福岡資麿厚生労働大臣 「引き続き周知・広報であったり、マイナ保険証の利用促進に取り組んでいく必要があると考える」 2日から停止された健康保険証の新規発行。高齢者施設では政策と逆行し、ひもづけを解除する動きもあります。 利用者が90人を超える東京・葛飾区にある「葛飾やすらぎの郷」では、食事など高齢者の生活を支えるなかで、毎日のように医療機関を受診する対応に追われています。 天野さん 「緊急時に救急車に乗って行く場合もあるし、どこかおなか痛い、足が痛いとか専門外来を受診する形が多い。ほぼ毎日受診対応はある」 従来は利用者の保険証を預かり、医療施設を受診していましたが、マイナ保険証に関しては預からないことを決めました。一体なぜ、預からないのでしょうか。
■盗難・紛失の不安 暗証番号対応もネックに
約2年前に入居 湯浅忠さん(88) 「(Q.マイナ保険証について)半分くらい知っていたかな。(自分が)持っているのかいないのか分からない。子どもたちに聞かないと」 寝たきりや、認知症の入居者も多い高齢者施設では、本人が管理できないケースも多いのが実情です。これまでの保険証であれば、施設で預かることができました。 天野さん 「重要書類が入っている。一緒に保険証も管理している」 「(Q.ここにマイナ保険証は入れられない?)入れることはできるが、出し入れの頻度が結構あるので、保管方法については再検討が必要になってくる」 様々な個人情報と結びつくマイナ保険証。盗難や紛失のリスクも高くなります。 天野さん 「マイナ保険証になると、それ(従来の保険証)以上の情報が入っている点は、万一紛失したりとか考えると、リスクもかなり上がるので怖い印象」 さらにネックになるのが、暗証番号への対応です。 施設で預かる場合、厚労省の資料には「マイナンバーカードの暗証番号は、本人確認のために重要なものであることから、慎重に扱うことが望ましく、原則として法定代理人以外の者に知らせることは適当ではありません」と記されています。 天野さん 「暗証番号が預かれないなら、顔認証のシステムを使うことになるが、目が開かない人、正面向けない人、寝たきりの人だったり、そういった人の顔認証に対応できるのか不安点はある」 受診のつど家族が同行できれば問題ありませんが、夜間や緊急を要する場合も多く、現実的ではありません。 そのため、葛飾やすらぎの郷では「有効期限が切れるまでは現行の保険証、有効期限が切れたら資格確認書で対応する」としています。今後、マイナ保険証での利用者がいた場合については、次のように述べました。 天野さん 「せっかくマイナ保険証をひもづけて頂いたが、いったんひもづけを“解除”して頂ければ資格確認書を発行してもらえるので、その手続きをして頂いて、資格確認書であればお預かりして、受診対応させて頂きますという話をしていくと」