中国が漁る日本の「重要土地」リスト 自衛隊施設、空港など安保関連で最多203件…政府初の調査で露呈「情報収集に利用されるリスク」
自衛隊や米軍施設、空港、原子力発電所など、国の安全保障に関わる重要施設の周辺、国境の離島などで外国人や外国法人が土地や建物の取得が相次ぎ、政府が実態把握を進めている。23日に開いた審議会では、防衛省市ケ谷庁舎周辺をはじめ、北海道から沖縄まで全国371カ所の取得事例が公表されたが、その半分以上が中国によるものだった。「台湾有事」をにらんで東アジア情勢が緊迫度を増している。識者は、外資の不動産取得規制について、強制力を持つ仕組みが必要だと訴える。 【画像】「日本の無人島を買った」と中国人女性がSNSに投稿した動画 政府初の調査で露呈 政府は、2022年に全面施行された土地利用規制法に基づき、自衛隊基地や海上保安庁の施設、原子力発電所など安保上重要な施設の周辺1キロを「注視区域」、自衛隊の司令部など重要な機能を備えた施設の周辺を「特別注視区域」に指定した。 自衛隊機の離着陸やレーダー運用の妨げとなる工作物の設置や、施設機能に支障をきたすレーザー光の照射、妨害電波の発信など、施設の機能を妨げる「阻害行為」が認められれば、中止を求める勧告や命令を出す。命令に従わなかった場合などの刑事罰も定める。 城内実経済安保相は23日の政府の審議会で「規制法を着実に運用し、重要施設への阻害行為に対し万全を期す」と強調した。 同法施行後初の調査で、23年度に外国人や外国法人による「注視区域」「特別注視区域」の取得が確認されたのは、20都道府県の土地174筆(筆は土地登記の単位)、建物197の計371に上った。都道府県別では東京都が171と最多で、特に防衛省市ケ谷庁舎周辺が104に上る。陸上自衛隊の補給統制本部39、練馬駐屯地20などだった。 取得した側の国・地域別では中国が個人・法人を含めて最多の203(土地87筆、建物116)、面積で計1万6275平方メートル、全体の54・7%を占めた。中国が取得した主な土地は別表の通り。 2位が韓国の49、3位が台湾の46で、ベトナム、フィリピン、米国、シンガポールが続いている。 審議会では自衛隊基地など具体的な重要施設名も列挙された。