双日とKiaが手を組んで新型EVバン「PV5」を2026年春から国内発売を開始へ
老舗商社と韓国第2位の自動車メーカーがタッグ
2024年9月24日、日本の総合商社である双日株式会社と韓国ヒョンデグループのKia(起亜自動車)は、現在Kiaが開発中の次世代EVバン(PBV:Platform Beyond Vehicle)の国内販売を2026年春ごろから開始すると発表した。第一弾は日本市場に最適化された「PV5」で、以降、PV7ほかPBVラインナップを順次展開していくという。 【写真】KiaのEVバン「PV5」をもっと見る 双日(旧ニチメン・日商岩井ホールディングス)は、日本の大手総合商社であり、かねてより日本および世界各国で自動車販売事業も手掛けている。一方、Kiaは1944年に創業した自動車メーカー大手。1998年にヒョンデ(現代自動車)傘下となり、現在、韓国第2位。世界各国で年間およそ310万台(2023年度)の乗用車/バス/トラックを販売している。短期間ではあるが、日本法人を設立していたことがある。 今回、日本発売がアナウンスされた「PV5」は、Kiaが開発中の次世代EV商用車「PBV」シリーズの第一弾だ。米ラスベガスのCES 2024でコンセプトモデルを初公開、以後、韓国の釜山モビリティショー、ヨーロッパのIAAで同社のグローバルPBV戦略とともに、本格的な次世代EVバンとして注目を集めている。
個別のニーズに応えるセミオーダーシステムを採用
PBVシリーズの特徴は、専用のEVプラットフォームに基づきながら、ユーザー特有のさまざまな要望を採り入れることが可能なユーザビリティの高さにある。洋服に例えれば、既製服とオーダーメイドの中間、つまりセミオーダーのようなイメージだ。 ヒョンデグループのソフトウェア定義型エブリシング(SDx)戦略に基づく高度なソフトウェアソリューションをデフォルトに、座席レイアウト、ドアパターン、ラゲッジコンパートメントの形状、バッテリー容量などの要素を個別に設定することができる。
ジャパンモビリティショー2025で市販型「PV5」を出品へ
KiaのPBV事業本部長のキム・サンデ上級副社長は、「日本市場でPBVの販売を開始し、顧客中心の価値を提供することを楽しみにしています。今後も、日本のお客様のご要望にお応えできるよう、現地市場の特性に最適化されたさまざまなPBV関連ソリューションを投入していきます」と語った。 また双日は「日本においてもEVバンのさらなる普及が見込まれる中、現在、主に都市部での利用が想定されるミドルクラスのバンのラインナップは少なく、市場の拡大や独自性の高い商品に対する需要が期待できることから、Kiaは日本市場への進出を決めました。そして、日本における自動車販売の実績などを高く評価していただき、当社を日本事業におけるパートナーに選んでいただきました。PBVの日本導入を通じて、社会課題へのソリューションとなる競争力の高い商品の取り扱いを強化し、自動車販売事業において機能強化と新たな事業基盤の構築に取り組んでいきます」とメッセージを寄せている。 PV5の発売は2026年春をめどに準備が進められているが、2025年秋に開催されるジャパンモビリティショーでPBVモデルとPBVビジネスエコシステムを引き続き紹介するとのこと。ユーザーが実際にブランドのPBV技術を直接体験できる機会を設ける予定だという。 なお、PBVシリーズはグローバル展開を計画しており、世界的な需要に対応するため、現在、最新鋭の「EVOプラント」を新設している。韓国の華城(ファソン)にある同ブランドのAutoland工場内にあるこの工場は、起亜自動車初のPBV EV専用工場になる。PV5の生産に続いて日本での発売も発表されているより大柄な「PV7」、そして国内発売も期待されるコンパクトな「PV1」も同工場で生産される。