日本のクルマ界には早すぎたのか バカ売れした人気の3代目アコード、"売れない車種"の理由を探った!
ボディの大型化でクラスアップ
3代目アコードのボディサイズは全長4535×全幅1695×全高1355mm。2代目のセダンが全長4410×全幅1650×全高1375mmだったので、かなり大型化されている。5代目マークII(全長4650×全幅1690×全高1415mm)よりも全長は短いが、それに匹敵するクラスに車格アップした。もっとも顕著なのがホイールベースで、2代目の2450mmから2600mmへと引き延ばされている。これはすなわち、室内の快適性の向上、優れた直進安定性を実現させるためだった。 特筆は1355mmの全高で、マークIIからもわかるとおりセダンの全高は1400mmちょい超えが当たり前のなか、異例に低かった。これもスポーティイメージを植え付けるには打ってつけだった。
機能性を追求した結果のデザイン
3代目アコードはスタイリッシュなエクステリアデザインが与えられているが、カッコだけのこけおどしではなく、当時トレンドとなっていた空力も突き詰めていた。低いノーズは空気抵抗低減のためだし、三次曲面を売りにしていたサイドウィンドウは、段差5mmの精度を誇り、空力ドアミラーも採用するなどこだわりを見せていた。デザイン上のポイントともなる低傾斜角のリアウィンドウは、ボディサイドまで回り込むラップラウンドタイプとし、ガラスエリアの広いキャビンの実現にひと役買っている。すべてのデザインは、機能に通じているのも3代目アコードの特徴だ。 3代目アコードの兄弟車として2代目に引き続きビガーが設定されていたが、フロントグリルのデザインとリアのナンバープレートの取り付け位置が違う程度とその差は小さかった。
ホンダの気概が凄い
今回の原稿を書くにあたり、デビュー当時に出されたプレスリリースを読み返しているのだが、アコードの開発陣の意気込みが凄い。 「セダン・イノベーション、新型アコード&ビガー。この車は、今後の車作りの先進的な新基準となっていくでしょう。それは初代アコードが登場した時のように、単にホンダだけにとどまらない、日本のモータリゼーションにとってもひとつのエポック。新たな時代が、始まりました」(リリースより抜粋) セダンを変える、という意味で『セダン・イノベーション』という言葉はよく使われるが、日本メーカーで初めて使ったのは3代目アコードだったと記憶している。 車格アップ、機能美を纏ったエクステリアデザイン、新開発の2L&1.8LのDOHCエンジン、FF(前輪駆動)車として世界初となる4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションなどの採用は、すべてセダン・イノベーションの実現を目指したものだったのだ。