【ダービー連載】友道師、自身4勝目よりジャスティンミラノの1勝「勝たせてあげたい」
<ミラノダービー道(2)> ダービーウイークが始まった。今年の3歳世代7906頭の頂点が決まる「第91回日本ダービー」(G1、芝2400メートル、26日=東京)。無敗の皐月賞馬ジャスティンミラノ(友道)の関係者に迫る。 【写真】皐月賞を制した戸崎騎手を抱きしめる友道師 ◇ ◇ ◇ 友道厩舎が送り出してきたダービー馬マカヒキ、ワグネリアン、ドウデュースは、歴史とともにファンの心にも深く刻まれている名馬だ。ジャスティンミラノはそんな馬たちを超越する存在かもしれない。友道師は力を込めて話す。「3頭は皐月賞で負けているんだよね。やっぱり競馬スタイルが全然違う。競馬センスがある。あの3頭にはないものを持っているよね」。 卓越した能力に加え、他のダービー馬3頭と共通する精神力の強さもある。非の打ちどころがない。「競馬場に行っても平常心で臨めるし、道中も折り合える。GOサインを出せば反応も速いし、トップスピードに入ってそのスピードを維持できる…。全部いいね」。称賛の言葉を重ねた。 初対面は当歳の7月ごろ。筋肉質な馬だった。成長を待ちながら、ゆっくり調整して2歳11月にデビュー戦。「平均点くらいかな。クラシックというイメージは全然なかった」。 初戦を快勝した後の休養で、馬が劇的に変化した。馬体に幅が出て調教の動きも力強くなった。その進化は共同通信杯の勝利として表れた。次戦の皐月賞では初の右回り、コーナー4つなど不安はあったが、首差で無敗のG1制覇を達成。落馬事故で亡くなった調教パートナー藤岡康太騎手にも勝利を届けられた。 「康太と話したのは、皐月賞の1週前で『文句ないです』ってのが最後だったかな。この馬だけじゃなくて、うちの馬をほとんど乗ってくれていた。康太のおかげです」 天国のチームメートとともに、調教師として現役最多の4勝目を目指すが、自身の記録よりも馬の功績。「僕のことより、ジャスティンミラノを勝たせてあげたい。一生に1回だし、そっちの方が強い」。その言葉の裏に、静かな闘志が燃えていた。【下村琴葉】 ◆友道康夫(ともみち・やすお)1963年(昭38)8月11日、兵庫県生まれ。02年11月に厩舎開業。05年朝日CC(ワンモアチャッター)で重賞初制覇。08年天皇賞・春(アドマイヤジュピタ)でG1初制覇。JRA通算4972戦726勝。ダービー3勝は現役単独最多。 ■ジャスティンミラノ 著しい成長 人気が見込まれる皐月賞馬ジャスティンミラノは成長が著しい。昨年11月に新馬戦を制した後から急激に体が成長し、背が伸びた。大江助手は「うちの厩舎の過去3頭のダービー馬と比べても、ここ半年の変化は一番大きいぐらい」と舌を巻く。「今回は皐月賞時より1歩1歩しっかりと走れるようになっている。こういった成長はダービーを勝つには必要だと思う」と1冠奪取からさらに進化を遂げている。