近所の「無人餃子店」が閉店続きです。スーパーより「コスパ」が良いと思い利用していたのですが、あまりもうからないのですか? なぜ“大量閉店”しているのでしょうか…?
各店の実際の販売価格をもとに計算し筆者作成 価格のみで比べると、実際にはスーパーで冷凍ギョーザを購入したほうが安く済む可能性が高そうです。しかし、無人ギョーザ店のギョーザは中華料理店やギョーザ専門店の味を楽しめるため、単純に価格だけで比較はできないでしょう。
大量閉店の背景
コロナ禍以前から無人ギョーザ店はありました。しかし、2020年度末には全国で131店舗だった無人ギョーザ店の店舗数は、2022年度末では一気に約10倍の1282店舗に増えました。一方で、2024年には無人ギョーザ店の新たな出店は少なくなり、ある無人ギョーザ店では約10%が閉店しています。閉店が増えている理由は、次のことが考えられます。 ・無人ギョーザ店が増えすぎて飽和状態になっている ・スーパーでもっと安くギョーザが買える ・窃盗被害が多い ・材料費が高騰している 無人ギョーザ店はランニングコストが低く、通常の飲食店と比べると利益率は高くなりやすいメリットがあります。しかし、無人営業は治安の良い場所ならではの業態ですが、それでも窃盗被害は少なからずあります。冷凍ギョーザの原価率は約20%、包装や電気代などを差し引くと利益率は30%程度といわれています。 毎日50セットのギョーザが売れ続ければ1ヶ月の売上は150万円、利益率30%ならそのうち利益が約50万円です。しかし、周りで店舗が増えすぎて、仮に1日10セットしか売れなければ、1ヶ月の利益は10万円以下になってしまいます。そこに窃盗による損失や、物価高によって原材料費や電気代が上がってしまえば、売上の少ない店舗は撤退せざるをえないでしょう。
まとめ
無人ギョーザ店は、コロナ禍で一気にそれまでの10倍もの店舗数に急増しました。自宅で気軽にお店の味が楽しめることや、24時間営業していることが人気の秘密です。しかし、コロナ禍が一段落し、当時のような巣ごもり需要はほとんどなくなりました。 そのため、最近では無人ギョーザ店の閉店が増えています。一般的に無人で利益率も高い業態ですが、昨今の物価高や窃盗被害の増加で採算が取れずに撤退を余儀なくされている店舗もあるようです。各店、しのぎを削っておいしいギョーザを提供しているので、一度試してみてはいかがでしょうか。 出典 株式会社帝国データバンク 「餃子無人販売店」動向調査 執筆者:古澤綾 FP2級
ファイナンシャルフィールド編集部