電気自動車火災が「大型悪材料」に…自動車・二次電池業界に危機感=韓国
仁川のあるマンションの地下駐車場で発生した大型火災により、電気自動車(EV)に対する消費者の懸念が高まっているが、自動車メーカーはこれに対するこれといった対応策を見出せずにいる。充電インフラの不足、価格が相対的に高いという認識に火災の危険性まで加わり、自動車・二次電池業界には大型の悪材料が出たとの危機感まで高まっている。 5日、ハンギョレが韓国国内の自動車・二次電池メーカーに対して今回の火災問題について問い合わせた結果、ほとんどが自らの立場を示せず、説明できずにいる。火災が発生した電気自動車のメーカーであるメルセデス・ベンツ側は「きわめて深刻に受け止めており、当局に協力して車両を徹底的に調査し、事故の根本原因を把握できるよう最善の努力を尽くしている」と明らかにした。また、別の輸入車メーカーの関係者は「充電中または走行中におけるバッテリーの欠陥による火災の発生は予想できるが、駐車中に火災が発生したケースなので原因を推定するのは難しい」と述べた。 1日朝、仁川のあるマンションの地下駐車場にあったベンツの電気自動車から火災が発生し、23人が負傷し、車両140台余りが熱損傷と煤煙被害を受けた。火災の場面が撮影された防犯カメラ(CCTV)を見ると、ベンツの「EQE」から白煙が立ち上り爆発して火が広がった。この火災によってマンション内部の電気や水道が途絶え、住民被害までが大きくなった状況だ。 火災が発生したベンツの電気自動車は、2022年下半期に韓国国内で発売されたモデルだ。国土交通部に取材した結果、この車には中国企業「ファラシスエナジー」が納品したニッケル・コバルト・マンガン(NCM)バッテリーが装着されていた。中国企業が主に生産するリン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリーとは異なる。 自動車・二次電池業界では事故原因調査に注目している。走行中に事故が起きたり、充電中に火災が発生したのではなく、駐車中の電気自動車から突然火災が発生したためだ。分離膜の損傷や素材製造過程での欠陥などバッテリー自体の問題や、車両使用中のバッテリー損傷の可能性が主な原因として取り上げられているが、まだ推定に過ぎない。二次電池を研究する大学教授は「何もしていないのに火災が起きたのは非常に異例」と話した。 二次電池業界のある関係者は「調査が完了すれば、完成車メーカーとバッテリーメーカーの責任比重を問い詰め、その責任を分担しなければならない」と述べた。2018~2020年に発生したコナ電気自動車の火災原因をめぐり、当時の現代自動車とバッテリーセルメーカーのLGエナジーソリューション、バッテリー管理システム(BMS)を設計した現代モービスは、責任攻防を繰り広げた。以後、業界では賠償責任を契約過程に明文化する方向だという。国土交通部は、現代自動車とLGエナジーの責任を3:7と判断しリコールを行った。 チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )