日鉄のUSスチール買収に異論 米議会、大統領選に影響も
【ワシントン共同】日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収に対し、米議会の一部では与野党を超えて異論が出ている。日本は米国の同盟国だが、議員らは安全保障上の懸念を理由に挙げる。USスチールが本社を置く東部ペンシルベニア州は大統領選の勝敗を左右する激戦州の一つで、反発が広がれば政権が対応に乗り出す可能性もある。 日鉄は18日に買収を発表した。ペンシルベニア州選出の民主党議員3人は20日、対米外国投資委員会(CFIUS)を担当するイエレン財務長官に宛てた書簡を公表。鉄鋼業が「ペンシルベニア州と米経済の中核を成す重要な産業」だとした上で「国家安全保障に与える影響を考慮するよう強く求める」と強調した。共和党のルビオ上院議員らも19日に書簡で「買収を阻止することは可能で、阻止すべきだ」と訴えた。 雇用などへの懸念もあり、全米鉄鋼労働組合(USW)は買収に反対している。バイデン政権は雇用や労働組合を重要視しており、反発が広がれば政権基盤が揺らぎかねない。