荻原博子<マイナンバーカード>を使った詐欺が横行中!スマホを通じて詐欺師にカードを見せたために起こった悲劇とは…
経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「新たな詐欺が横行しています!」です(イラスト:さかがわ成美) 【写真】「持病持ち、高齢でも入れて保険料が安い」と語る保険に気を付けて!と話す荻原さん。その理由とは * * * * * * * ◆新たな詐欺が横行しています! マイナンバーカードを使った、新手の特殊詐欺が出てきています。 今年1月に起きた事件の被害者は、北海道に住む70代の女性。総務省総合通信局の職員や警察官を名乗る男性から、「あなたの口座の個人情報が流出したようなので調査しています」という電話を受け、驚いて指示されるままにスマホのビデオ通話でマイナンバーカードを見せたのです。 詐欺師は、このカードの画像を取り込み、それをもとに本人になりすましてネット銀行の口座を開設したと思われます。 女性は、「個人情報が盗まれているので、あなたの銀行口座は凍結されます。すぐにこちらで用意した安全なあなた名義の口座に預金を移し替えてください」と電話で指示され、自分の口座にあった現金1400万円を、この偽口座に振り込んでしまいました。 いま金融機関は、詐欺被害を防ぐために高額振込には目を光らせています。昨年、銀行やコンビニで特殊詐欺被害を防いだ件数は約2万2000件、総額約72億円でした。 ところが、振込先が本人名義の口座だと、振込ではなく個人的な資金移動ということでチェックしにくい。犯人からすれば、金融機関の監視を潜り抜けやすいだけでなく、「受け子」に現金を取りに行かせて足がつくリスクも減るので、こういった手口が急増中です。
◆スマートフォンの乗っ取りも 偽造マイナンバーカードは、スマートフォンを乗っ取る詐欺にも利用されています。大阪の市議会や東京都議会の議員が、決済アプリで10万円ほど使われたり、200万円以上する高額な時計を買われたりする事件も起きました。 これは「SIMスワップ詐欺」と呼ばれる新手の詐欺。偽造マイナンバーカードを携帯して本人になりすました詐欺師が、「スマホを他社に乗り換えたい」などと言って、携帯会社などでSIMカードを再発行してもらう。 一度再発行されてしまうと、被害者の持つSIMカードは使えなくなり、詐欺師が勝手に金融機関のサイトへログインすることが可能になります。また、ワンタイムパスワードも詐欺師のほうに届くので、ネットバンキングの本人確認を突破してしまうケースも。 すでに中国系詐欺組織が、闇バイトで素人を雇って、大量のカードを1枚5分程度で偽造している実態も明らかになっています。 政府は、「マイナンバーカードは持ち歩いても大丈夫」と言っていますが、こうした犯罪に巻き込まれないためには、不用意に持ち歩いたり人に見せたりしないほうがいいでしょう。 (撮影=本社写真部)
荻原博子
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