「自分は10億なんてすぐ稼げる」就職マッチングサイトで「外資系即戦力人材」を採用した企業の「悲惨な末路」
コロナ禍を機に副業がブームを越えて定着している感があります。副業マーケットが盛り上がると同時に、個人と企業をつなぐマッチングサービスも増えていきました。必然的に採用する会社も増えています。個人の働き方が多様化されることは、とても良いことでしょう。 【写真】「ロシアのアルミ王」が建てた静岡・伊東「要塞別荘」の驚愕内容 職のマッチングがよりカジュアルになり、ベンチャー企業や中小企業が、華麗なキャリアを持つ大企業の現役役員やフリーランスのコンサルタントや技術者などと業務委託契約を結ぶケースが増えているように感じます。しかしここに落とし穴があります。設立間もないベンチャー、社歴は長くても中小企業では、業務委託者を扱った経験が少なく、うまく活用できないことです。顔合わせから初期段階だけ担当者個人や社長に「すごい!」と思わせて契約さえ結んでしまえば、後はベンチャー企業や中小企業が手玉に取られるケースも発生し始めているのです。 その悪用する業務委託者を本稿ではビジネスロマンス詐欺師(以下BRS)と名付けました。以下、筆者が目にしたBRSの事例を紹介したいと思います。
「10億なんてあっという間」
「なかなかフィットする人材がいなくて、やっと見つけた! と思い、皆が期待して契約したのですが……完全にやられました」 こう語るのはバイオテクノロジーベンチャー企業Aの採用担当、安東さん(仮名)です。 事の始まりは、1年前。Aは業務拡大を目指してマッチングサイトに募集広告を出しました。近しい領域の知見を持っていることと、新規事業推進の経験を軸とした正社員の募集です。 これに対し応募してきたのが、竹内(仮名)という男です。竹内の履歴は募集内容にフィットしたもので、現在は欧州系の有名財閥系グループ会社に在籍しているとのことでした。 「現職の信頼感もあり、経歴や経験等は問題なし。あとは人間性の確認だと実際に対面しました。面接ではこちらの投げかけに対して的確に答え、秘密情報なのでこちらの研究内容は詳しくは話せない話題に関しても、その制約の中でちゃんと返答してくるのには驚きました。しかも態度も適度にちゃんとしているのに、適度にフレンドリーで、とても評価は高かったです」(安東さん) 「自分が直接動けば、今までのネットワークもありますし、売上の1000万、1億や10億なんてあっという間にできる。でもせっかくだから部隊を先導して、スタッフを指導する方が、効果は何倍も出ますよ。ベンチャーは人を早く育てないと、ですよね?」 面接で竹内が語った言葉はベンチャー企業にとっては魅力的なものばかりでした。しかし、ただ、1つ疑問がありました。それは、求人票に書いていた給与水準より、現職での年収がずいぶん高かったことでした。