米欧対立の火種「インフレ抑制法」が「新たな合意」を導く可能性に注目せよ
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2022年8月、アメリカで「 インフレ抑制法(IRA) 」が成立した。これは1930年代の大恐慌以来、最も包括的な産業政策で、その目的は、長年の懸案だった再生可能エネルギーの導入拡大をテコに、国内製造業を復活させることだ。 インフレ抑制法の成立によって、ヨーロッパや日本をはじめ各国で懸念が広がっている。アメリカが、長年力を入れてきた市場経済や自由貿易を放棄するのではないかとの不安を招いているのだ。 ただ、世界経済におけるアメリカの一国主義こそが、EU(欧州連合)や、程度の差はあれ日本との無数の政策対話を生んできたともいえる。こうした政策対話を行うことで、価値観を同じくする国・地域の貿易や投資に関する新たなルール作りは、過去30年間WTO(世界貿易機関)を通じて行ってきたよりもうまくいくかもしれない。
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ブルース・ストークス(Bruce Stokes)