“消費されない情報”を提供する新雑誌「10 MAGAZINE JAPAN」が創刊
「10 マガジン(10 Magazine)」の日本版である「10 マガジン ジャパン(10 Magazine Japan)」が9月18日にセイセンプレスペッツォ(sei sempre sul pezzo)より創刊された。定価は3980円。 【画像】作家の川上未映子
「10 マガジン」は2001年にソフィア・ネオフィトウ・アポストロウ(Sophia Neophitou-Apostolou)によってロンドンで創刊されたスタイル&カルチャーマガジン。日本版の編集長は、元「ヴォーグ ジャパン(VOGUE JAPAN)」ファッション・ディレクターの増田さをりが務める。創刊号のテーマは「ルネサンス」。AI技術が進化する時代の中で人間こそが生み出せる価値について改めて掘り下げ、多面的なクリエイティヴ・リーダー、そして卓越した職人技と精神を持つ人々にスポットライトを当てた。 ミラノで行われたローンチイベントで取材に応じた増田編集長は「10 マガジンはインディペンデントファッションマガジンとして創刊されたが、もはやグローバルという認識。私はソフィアを15年前から知っているが、彼女も様々なエディションのヴォーグを経験した人で、そのイズムが根底にはある」と語る。渡辺三津子や高見沢さとこなど、ヴォーグ ジャパン出身のベテランを編集チームに迎えた。 創刊号は3種類の表紙デザインで発表され、カバーモデルは広瀬すず、北村匠海、そしてモデルの美佳がそれぞれ務めた。「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」の山本耀司や「サカイ(sacai)」の阿部千登勢ら12人のファッションデザイナー、「ゴジラ-1.0」の映画監督である山崎貴、作家の川上未映子や建築家の重松象平など日本のカルチャーシーンをけん引する総勢10人が登場するほか、韓国発ボーイズグループ、「エイティーズ(ATEEZ)」のサン(SAN)の撮り下ろしも公開。 同誌は英国版と同様に、9月(FALL WINTER号)と3月(SPRING SUMMER号)の年2回の発行を予定している。「年に12回というのはやっぱり時代とそぐわないのかな、と個人的には思っていて。年に2回なら、そのシーズンのトレンドやファッションステートメントを打ち出すサイクルとしてふさわしい」とその意図を明かす。 コンテンツは紙媒体やデジタル、動画、各種ソーシャルプラット・フォームを中心に、グローバルなマルチチャネルネットワークで配信していく。「ニュースメディアではなくて、『ゆっくり読みたい』と思えるような読み応えのあるコンテンツを目指している。ヨーコ・オノの功績など、今の20代の子たちが知らないようなことも盛り込んだので、面白い内容になっているんじゃないかな」と自信をのぞかせた。 創刊号は約340ページ。ジャーナリスティックな視点とトップクリエイターとのコラボレーションによるヴィジュアルが詰まっている。「デジタル化が進む中で、紙媒体の価値が問われる時代に創刊されたこの雑誌は、ぬくもりと人間味を感じられる消費されない情報を提供する一冊でありたい」と語る増田編集長。ファッション、ジュエリー、ウォッチ、ビューティ、アート、カルチャー、そして旅にフォーカスした新たなスタイルバイブルが、大きな注目を集めそうだ。