【MLB】 ドジャースとパドレスの地区シリーズ展望 ドジャースは本当に不利なのか? 大谷、山本が鍵に
日本時間10月6日から、両リーグで地区シリーズがスタート。ナ・リーグの第1シード・ドジャースは、第4シード・パドレスを迎え撃つ。最大5戦の地区シリーズを制すのは、MLB最高勝率のドジャースか、レギュラーシーズンではドジャースに勝ち越しているパドレスか。両軍の戦力、先発マッチアップなどをチェックしていこう。
◆先発予定・予想(パドレス対ドジャース) 第1戦 ディラン・シース 対 山本由伸 第2戦 ダルビッシュ有 対 ジャック・フラハティ 移動日 第3戦 マイケル・キング 対 ウォーカー・ビューラー 第4戦 マーティン・ペレス(ブルペンデー) 対 ランドン・ナック(ブルペンデー) 移動日 第5戦 シースorダルビッシュ 対 山本orフラハティ ◆ドジャースシーズン成績(順位は30球団中) OPS.781(1位) 先発防御率4.23(19位) 救援防御率3.53(4位) ◆パドレスシーズン成績(順位は30球団中) OPS.745(6位) 先発防御率3.91(13位) 救援防御率3.78(11位) MLB最高勝率を残してプレーオフに挑むドジャースだが、意外なほどにその前評判は低い。MLB公式サイトでも、大手メディア「ジ・アスレチック」でも、パドレスの突破を予想する声が多い。 その理由は明白で、ドジャースの先発投手陣が貧弱なためだ。ドジャースは好成績を残していたタイラー・グラスナウ、ギャビン・ストーンを終盤に失い、9月の先発防御率は5.80でメジャー最下位だった。信頼できる先発投手は故障から復帰した山本、トレード加入のフラハティのみで、シーズン防御率5.38のビューラー、新人のナックに頼らざるを得ない。 対するパドレスの先発ローテは優秀で、9月の防御率は2.69でメジャー4位。シースとキングの2枚看板はドジャースの山本・フラハティを凌ぐクオリティを持つ上、ドジャースに対して相性が良いダルビッシュも控えている。さらにトレードデッドラインで、タナー・スコットとジェイソン・アダムを補強し、ブルペンも盤石になった。 投手陣のタレント力の差、そしてシーズン中の直接対決で勝ち越していること。それがパドレスによる“下剋上”がもはや大方の予想となっている要因だ。また、後半戦はメジャー最高勝率をマークし、ワイルドカードシリーズでもブレーブスを圧倒した“勢い”を買う声もあるだろう。 しかし、ここまでパドレス有利に偏った予想はミスリードかもしれない。その理由は2つある。 まず、投手力の差が最大5戦の地区シリーズではそこまで大きくならない可能性があるためだ。ドジャースのブルペンは非常に過小評価されている。トレード加入したマイケル・コペック、ブレイク・トライネン、アレックス・ベシアからなる“勝利の方程式”は、8月以降は61登板で防御率1.04をマークしている。ちなみにパドレスの勝利の方程式(スコット、アダム、ロベルト・スアレス)はというと、防御率2.91に過ぎない(これはスアレスの不調に依る部分が大きい)。 最大でも5戦の地区シリーズでは、信頼できる投手に起用を集中させることも可能だ。また、ドジャースは山本を第1戦、フラハティを第2戦の先発に変更したことで、第5戦に彼ら両方を先発・リリーフで起用できる態勢を整えた。信頼を寄せる山本、フラハティが好投することは前提になってくるが、山本・フラハティ・コペック・ベシア・トライネンらの仕事ぶり次第で、投手力の差は埋まる。信頼できる投手を重点的に起用することで世界一までのし上がった2019年のナショナルズはその良い例だ。 そして、2つ目の理由が、大谷翔平を擁するドジャースの打線が強力だということだ。パドレスが好調だった後半戦で見ても、ドジャース打線は各指標でパドレス打線を上回っており、攻撃力では明確にドジャースにアドバンテージがある。 そして、大谷の存在はやはり見過ごせない。「50-50」を達成した大谷ほど攻撃に影響力をもたらせる選手は、他にはアーロン・ジャッジ(ヤンキース)しかいない。シーズン最後のドジャースとパドレスとの直接対決3連戦が良い例だ。このとき、ドジャースはナック、フラハティ、ビューラーと“裏ローテ”を2人含む先発ローテで、キング、シース、ジョー・マスグローブというパドレスの3枚看板に対した。しかし、大谷が11打数6安打という獅子奮迅の働きを見せたこと(そしてブルペンも13イニング1失点)でパドレスに2勝1敗と勝ち越し、地区優勝を達成している。 鍵を握るのは、第1、2戦の出来だ。投手有利なパドレスの本拠地ペトコ・パークで戦う第3、4戦では、パドレス投手陣はより強力になるはずだ。ドジャースとしては好投が前提となる山本、フラハティが真価を発揮し、第1、2戦に可能な限り良い結果を残さなければならない。