ECB、悪化する経済下支え-12月の50bp利下げ確率20%に
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は17日、今年3回目の利下げに踏み切った。インフレの急速な後退で低迷する域内経済を支えることが可能になったと判断、2会合連続の利下げを決めた。
ECBは中銀預金金利を0.25ポイント引き下げ、3.25%とした。ブルームバーグの調査に答えたアナリスト全員の予想通りだった。
ECBはインフレ低下のプロセスが「順調に進んでいる」とし、インフレ率は「来年中に」目標値の2%まで低下するとガイダンスの文言を変更した。従来は来年7ー12月(下期)に目標値に戻るとしていた。
金利が今後いつ、どの程度引き下げられるかについてのヒントは示さなかった。
ECBは声明で、「インフレに関して入ってくる情報は、ディスインフレのプロセスが順調に進行していることを示している」とした上で、政策委員会は物価安定の「目的を達成するために必要な限り、政策金利を十分に景気抑制的な水準に維持する」と表明。「景気抑制の適切な水準と期間を決定するために、引き続きデータ依存かつ会合ごとのアプローチを取る」と説明した。
ECBは経済の足かせを外すペースを速めた。ユーロ圏のインフレ率は2021年以降で初めて2%を下回り、民間部門の経済活動は低迷。これまで堅調だった雇用市場にもひびが入りつつある。
ラガルド総裁は政策委員会が開かれたスロベニアのブルドで記者会見し、成長へのリスクは依然として下振れ方向に傾いているとの見解を示しつつ、リセッション(景気後退)は想定していないと主張。「われわれは引き続きソフトランディングを見込んでいる」と語った。
「信頼感の低下は、消費や投資が予想通りのスピードで回復するのを妨げる可能性がある」とも指摘した。
欧州債は決定発表後にほとんど動きがなく、ドイツ10年債利回りは前日より若干高い2.20%前後で推移した。
ユーロ圏経済へのリスクはタカ派のメンバーも認めており、シュナーベル理事は「成長への逆風は無視できない」と述べていた。