【卓球】「全中」はなくなるのか!? 「部活動」は一体どうなるのだろうか!?
教員の働き方改革の名のもとに、部活動の大切さを失う学校教育で良いのだろうか
中学校の指導者、クラブチームのコーチの間で、最近まことしやかに「全中がなくなるらしい」という噂が流れている。それは学校の教員の働き方改革から端を発し、「中学校の部活動をなくし、地域移行しようとしている」という話に広がり、それを火元に、「全中がなくなる」という煙となって広がっているようだ。 6月8日に中体連(日本中学校体育連盟)が令和9年度(2027年度)から9競技の全中を取りやめることを発表した。現行の20競技からほぼ半減させることで、大会運営を行う教員の負担を減らそうという狙いだ。 部活動の設置率の低い9競技(水泳・体操・新体操・ソフトボール男子・相撲・スキー・スケート・アイスホッケー)は3年後には全国中学校大会を開催しない(スキーは2029年度まで)。目安となった部活動(以下:部活)の設置率は20%未満。つまり、これらの9競技は10校の中学校のうち、設置されているのは2校未満ということになる。水泳などはプールを設置していない学校が多く、大きな町であればスポーツクラブがスイミングスクールを運営しているし、体操部のある中学校はたしかに少ないだろう。 これらの決定の裏には文部科学省が推し進める教員の「働き方改革」が関係していると言われ、大会運営だけでなく、部活の顧問となっている教員の負担軽減を目的としている。卓球は部活動の設置率が高いために全中を継続する11競技に残ったが、将来どうなるかは誰もわからない。 日本卓球協会は「部活動対策プロジェクト」を発足し、対策に動き出している。なぜなら協会の登録者のほぼ半数が中体連の登録者なのだ。 新潟県の県卓球連盟理事・中学委員長を務める比護洋平(新潟県小千谷中学教諭)は卓球王国の11月号でこう語っている。 「教員の働き方改革や地域スポーツへの移行で、部活縮小の流れとなっていますが、部活の指導をしたくて教職に就いた私としては寂しい。部活は楽しいだけでなく、人間形成の貴重な場だと思っています。挨拶できるか、服をたためるか、宿題をやっているのかなどをチェックできます。子どもたちにとっても、喜んだり泣いたり、こんなに心が動く時間は、ほかになかなかないと思います」 「新潟でも市町村によって差はあります。地域クラブへの移行を待ったなしで進めていますが、受け皿がないのが現状です。学校の部活はクラブとは違う。教育の一環としてやっているのですから部活は大事です」。 ことの真相を探るべく、中体連、日本卓球協会の関係者に取材を行い、卓球王国最新号12月号(10月21日発売)で6ページの特集を組んだ。 卓球愛好者の多くが経験した「部活動」が今岐路に立っている。 [特集の見出し] ■3年後に9競技の全中が取りやめとなるが、卓球は残りの11競技として全中を継続 ■日本卓球協会の登録者の47%が中体連の登録者、中学生の登録者数は14万人を超える ■もし部活の中学生が激減したら協会も卓球メーカーも大打撃となる ■海外が絶賛する学校スポーツ「部活」。卓球のコアなファンを作り出している ■過大な部活の制限を受ける公立校と、私立校の実力差が拡大している ■「日本卓球協会に全中の代替大会を作ってほしい」「部活は人間形成の貴重な場」 ■協会も動き出す。地域移行は止められない。今から4本の柱で準備をする ■「部活は楽しい。涙ぐましい卓球部への勧誘努力をしている教員が全国に何万人もいる」(神村/中体連卓球専門部部長)