インフルとコロナ患者の激増で発熱外来が大混雑…院内感染も
インフルエンザとマイコプラズマ肺炎の感染が拡大する中、新型コロナウイルスの感染者も増加している。 コロナの「再感染」「再々感染」が続出しているワケ…やはり、風邪と区別がつきにくい 「患者数激増で各医療機関とも発熱外来が大変なことになっている。病院や施設ではインフルエンザとコロナの院内感染がともに起こっています」と言うのは、「在宅療養支援病院 クローバーホスピタル」(神奈川県)の院長で、呼吸器が専門の鈴木勇三医師だ。昨日に続き、感染症対策のために知っておくべきことを取り上げる。 「私の病院では高齢の患者さんには積極的にワクチン接種を勧めています」(鈴木医師=以下同) 過去にワクチン接種をしていても、また感染歴があっても、免疫は長く続かない。定期的にワクチン接種をした方が確実性が高いと、鈴木医師は患者に説明している。 「コロナに関しては、現時点では私たちの免疫はコロナに慣れておらず、コロナも人間に順化していません。だから一定の確率で重症化しますし、罹患後の後遺症に関してはロシアンルーレット並みに誰がなるかわかりません」 鈴木医師が感じているのは、「特にコロナについて、間違った情報に惑わされている人が多い」ということ。 例えば「コロナはただの風邪」。確かに若者や健康な人ではコロナに感染しても大概は軽症で済むが、高齢者や基礎疾患がある人は依然として重症化しやすく、コロナの死亡率はインフルエンザよりも高いことがはっきりと示されている。また、後遺症という問題があり、時に深刻なケースもある。海外の調査では、コロナ陽性から2カ月で72.5%、6カ月かそれ以上で54%が何らかの症状を訴えているとの報告がある。前述の通り、誰でも後遺症のリスクがある。 ■ワクチンの同時接種は可能? 「ワクチンへの誤解も根強い。定期接種に使われるコロナワクチンは5種類あり、その1つが今回初めて加わったレプリコンワクチン(自己増殖型の次世代mRNAワクチン)。しかし、5種類すべてを次世代mRNAワクチンと思い、拒否反応を示す人もいます」 不安に応え、ワクチン接種のメリットを伝えると、大抵の人が納得する。注射した部位の痛み、関節痛、発熱などの副反応を気にする人には、ワクチン接種後の全身的な副反応が強いほど感染を防ぐ抗体値が上がりやすく、効果を得られやすいという最近の研究結果を伝えるようにしているという。インフルエンザとコロナのワクチンは同時接種が可能だ。接種をするなら、急いだ方がいい。 「接種してから免疫が上がるまで2週間ほどかかります。また、インフルエンザ、コロナともにワクチン接種は65歳以上、あるいは60~64歳で条件に該当する人は定期接種となっており、一部公費負担で安い金額で受けられますが(金額は自治体によって異なる)、自治体が決める期間内に限られています。それを過ぎると全額自費です」 インフルエンザワクチンの定期接種はほとんどが1月31日まで。コロナワクチンは3月31日までとしているところもあれば、インフルエンザワクチンと同様に1月31日までのところもあった。住んでいる自治体のホームページを見ればわかる。 ■公費負担は期間限定 なお、コロナのワクチンは2024年から定期接種になり、それまであった接種券送付はされなくなっている。 「入院している病院やかかりつけのクリニックがインフルエンザとコロナの定期接種を行っていても、一部公費負担となるワクチンは、原則、住民票所在地でないと接種できないので注意が必要です(※)」 ワクチン接種をしたからといって、重症化や後遺症を完全に防げるわけでもない。自分や自分の家族はインフルエンザ、マイコプラズマ、コロナのパンデミックに対して、どう対策を講じるか、考えたい。 ※やむを得ない事情がある場合、事前に接種を希望する医療機関のある市町村に届け出の提出が必要