“大虎事件”でWBC世界王者の拳四朗が謝罪文…世界戦中止でJBC事情聴取…元王者の寺地父は「もうお酒は飲ませない」
今回の事態の処理のため緊急上京している父の寺地会長も、「被害者の方並びに関係者の方々にご迷惑をおかけしたことを深くお詫びします。息子が、これまで酒にのまれて暴れたことなど見たことも聞いたこともありません。酒癖が悪いといったこともなく、本人が何も記憶にないというほど飲んでしまったことに驚いています。もう28歳で私が管理するという年齢ではありませんが、会長としての責任があります。本人へ世界王者の自覚を促し、もう、今後は、このようなお酒は飲ませません」と、謝罪と共に二度とこのような過ちを繰り返させないことを約束した。 寺地会長によると、拳四朗自身も、まったく記憶にない事件を酩酊状態で起こしたことにショックを受けているという。 また週刊誌の報道通り12月19日に大阪のエディオンアリーナで同級1位の久田哲也(36、ハラダ)と8度目の防衛戦を行う計画が水面下で進んでいた。久田は昨年10月にWBA世界ライトフライ級スーパー王者の京口紘人(ワタナベ)に挑戦、判定負けを喫しているベテランボクサーだ。この試合は未発表だったが、今回の不祥事を受けて白紙撤回、延期になることが正式に決定した。寺地サイドは、示談金に加えて、試合会場のキャンセル代の負担など多額の代償をも負うことになった。 すでに示談が成立し刑事事件にはならない一件ではあり、社会的制裁も受けているが今回の一連の不祥事をJBC(日本ボクシングコミッション)は看過せず、12月2日に拳四朗、寺地会長の2人から事情を聴く予定。その内容を倫理委員会で審議した上で、一定期間のライセンス停止など、なんらかの処分が下される方向となっている。 ベルトを7度防衛中の拳四朗は、米国の権威あるボクシング専門誌「リング誌」のライトフライ級ランキングで1位に置かれるなど世界的な評価も高くなっていた。当初はスピードとテクニック型のボクサーだったが、徐々にパンチ力もつき、ここ2試合は連続TKOで王座を防衛していた。本人も具志堅用高氏が持つ13度防衛の日本記録越えを宣言。その可能性も統一王者となる可能性も十分に持った王者だけに残念な不祥事発覚となったが、失った信頼は、リング上の姿で取り返していくしかないだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)